「NBAドラフト2021」の評価と注目選手

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2021年7月30日に開催されたNBAドラフト2021。今年のドラフトは豊作と言われており、特に上位指名が確実視されていたケイド・カニングハムや、NCAAトーナメントでの活躍が記憶に新しいゴンザガ大のジェイレン・サッグス、ベイラー大のデイビオン・ミッチェルとジャレッド・バトラーなど、特にガードの層が厚いとされている。

また、将来有望な若手選手の受け入れ先として2020年に創設された「Gリーグイグナイト」からのドラフト候補生であるジェイレン・グリーンやジョナサン・クミンガにも注目が集まっている。

目次

2021ドラフト指名結果一覧

1巡目指名

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   指名チーム      氏名     Pos. 出身校 
1ピストンズケイド・カニングハムPGオクラホマ州立大
2ロケッツジェイレン・グリーンSGGリーグイグナイト
3キャバリアーズエバン・モーブリーC南カリフォルニア大
4ラプターズスコッティ・バーンズPFフロリダ州立大
5マジックジェイレン・サッグスPGゴンザガ大
6サンダージョシュ・ギディーPGオーストラリア
7ウォリアーズジョナサン・クミンガSFGリーグイグナイト
8マジックフランツ・バグナーSFミシガン大
9キングスデイビオン・ミッチェルPGベイラー大
10ペリカンズ→ グリズリーズザイール・ウィリアムズSFスタンフォード大
11ホーネッツジェームズ・ブックナイトSGコネティカット大
12スパーズジョシュア・プリモSGアラバマ大
13ペイサーズクリス・デュアルテSGオレゴン大
14ウォリアーズモーゼス・ムーディーSGアーカンソー大
15ウィザーズコーリー・キスパートSFゴンザガ大
16サンダー→ ロケッツアルペレン・シェングンCトルコ
17グリズリーズ→ ペリカンズトレイ・マーフィー三世SGバージニア大
18サンダートレイ・マンPGフロリダ大
19ニックス→ ホーネッツカイ・ジョーンズPFテキサス大
20ホークスジェイレン・ジョンソンSFデューク大
21ニックス→ クリッパーズキーオン・ジョンソンSGテネシー大
22レイカーズ→ ペイサーズアイザイア・ジャクソンPFケンタッキー大
23ロケッツウスマン・ガルーバPFスペイン
24ロケッツジョシュ・クリストファーSGアリゾナ州立大
25クリッパーズ→ ニックスクエンティン・グライムズSGヒューストン大
26ナゲッツナシャン・ハイランドPGバージニア・コモンウェルス大
27ネッツキャメロン・トーマスSGルイジアナ州立大
28シクサーズジェイデン・スプリンガーSGテネシー大
29サンズ→ ネッツデイロン・シャープCノースカロライナ大
30ジャズ→ グリズリーズサインティ・アルダマPFロヨラ大

2巡目指名

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   指名チーム      氏名     Pos. 出身校 
31バックス→ ウィザーズアイザイア・トッドPFGリーグイグナイト
32ニックス→ サンダージェレミア・ロビンソン・アールPFビラノバ大
33マジック→ クリッパーズジェイソン・プレストンPGオハイオ大
34サンダー→ ニックスロカス・ホクバイティスPGリトアニア
35ペリカンズハーバート・ジョーンズSFアラバマ大
36サンダー→ ニックスマイルズ・マクブライドPGウェストバージニア大
37ピストンズ→ ホーネッツJT・ソーPFオーバーン大
38ブルズアヨ・ドスンムPGイリノイ大
39キングスネミーアス・ケイタCユタ州立大
40ペリカンズ→ ジャズジャレッド・バトラーSGベイラー大
41スパーズジョー・ウィースキャンプSGアイオワ大
42ピストンズアイザイア・リバースSFミシガン大
43ペリカンズ→ ブレイザーズグレッグ・ブラウンPFテキサス大
44ネッツケスラー・エドワーズSFペパーダイン大
45セルティクスジュアン・ビガランSGフランス
46ラプターズダラーノ・バントンPGネブラスカ大
47ラプターズデイビッド・ジョンソンPGルイビル大
48ホークスシャリーフ・クーパーPGオーバーン大
49ネッツマーカス・ゼガラウスキーPGクレイトン大
50シクサーズフィリップ・ペトルシェフCセルビア
51グリズリーズブランドン・ボストンJr.SGケンタッキー大
52ピストンズルカ・ガルザCアイオワ大
53シクサーズチャールズ・バッシーCウェスタンケンタッキー大
54ペイサーズ→ バックスサンドロ・マムケラシュビリCシートンホール大
55サンダーアーロン・ウィギンズSGメリーランド大
56ネッツスコッティ・ルイスSGフロリダ大
57ホーネッツ→ ピストンズバルシャ・コプラビツァCフロリダ州立大
58ニックスジェリコ・シムズPFテキサス大
59ネッツレイクワン・グレイPFフロリダ州立大
60ペイサーズ→ バックスヨルゴス・カレイツァキスSFギリシャ

NBAドラフト2021総評

前評判通り、オクラホマ州立大のケイド・カニングハムがデトロイト・ピストンズから全体1位指名を受けた。
カニングハムはNCAAの個人賞を多く受賞し、所属カンファレンスである”Big12″で1年生ながら最優秀選手賞を受賞したのはケビン・デュラント以来という快挙を達成しており、2021年ドラフトでもっとも完成度が高い選手という評価をされている。

2位指名はGリーグイグナイトでプレーしたジェイレン・グリーン、3位指名は今ドラフトで最高のビッグマンという評価のエバン・モーブリーとほぼ順当通りの指名だった。

サプライズだったのはトロント・ラプターズが4位指名でフロリダ州立大のスコッティ・バーンズを指名したことだ。事前の予測ではラプターズは体能力・バスケットIQ・スキルの三拍子を高いレベルで併せ持つゴンザガ大のジェイレン・サッグスを指名するとみられていた。カイル・ラウリーの移籍も噂される中でサッグスを回避して、ディフェンスに定評があるバーンズを指名したことは今後評価が分かれそうな指名ではある。

その他、1巡目指名については事前のモックドラフトからチーム事情に合わせて上下はあれど、ほぼ順当に指名されたとみていいだろう。

2巡目に落ちた選手としてはニューヨーク・ニックスが36位で指名したマイルズ・マクブライドと、40位で指名されたベイラー大のジャレッド・バトラーが挙げられそうだ。

マクブライドはウェストバージニア大のPGで、昨シーズンは平均15.9点、3P成功率41.3%というシュート力が評価されている選手だ。ディフェンスにおいてもハードなペリメーターディフェンスを行うとの評判で、ペリメーター・ディフェンスの強化を必要とするニックスにとってスティールピック(儲けもの指名)になる可能性がありそうだ。

今ドラフトで最も指名順位を下げた選手はおそらくバトラーだろう。バトラーはNCAA優勝を果たしたベイラー大のエースプレーヤーの1人であり、NCAAファイナルでは22点、7アシストを記録してファイナル4のMVPに選出されている。ディフェンス面での評価も高く3&Dとしての活躍が期待できる選手ではあるが、9位指名のデイビオン・ミッチェルのゲームメイク能力が評価される場面が多いことと、身体能力やシュート力はNBAレベルでは平凡であるため、無難なロールプレーヤーという評価に落ち着いたというのが40位という指名順になったと考えられる。

また、育成チームであるGリーグイグナイトから2位指名のジェイレン・グリーン、7位指名のジョナサン・クミンガ、31位指名のアイザイア・トッドと3名がドラフトされている。いずれも期待値が高い選手であり、彼らの成功次第では将来的に大学を経由せずにGリーグを経由してのドラフトエントリーが増える可能性を秘めている。

注目選手5選

1. ケイド・カニングハム(1位指名:ピストンズ)

ゲームメイクからスコアリングを満遍なくこなし、ディフェンスでは複数ポジションを守ることができるオールラウンダーなプレーヤー。NBA屈指のオールラウンダーだったグラント・ヒルや、長身PGとして起用できることから「シュート力のあるベン・シモンズ」ともいわれている。

カニングハムに注目すべきは個人成績やスキルはもちろん、チームの若き司令塔としてチームをまとめる活躍だ。ジェレミー・グラントという核はあるもののピストンズは長い再建期にあり、長期的なチーム作りを行う上での確固たるコアはない状態だ。カミングハムがチームの司令塔としてゲームをコントロールすることができれば、ピストンズは来季以降の再建プランを加速させることができるだろう。

2. ジェイレン・グリーン(2位指名:ロケッツ)

カニングハムほどの完成度はないが、アスレチックなオフェンスプレーヤーとして注目を集めている。高校時代にはESPNで1位にランキングされたほどのポテンシャルがあり、インサイドでもアウトサイドでも得点できるスキルがあるとされている。ディフェンスや安定性には課題があるものの、今ドラフトのスター候補の1人であることは間違いなく、アシスト能力も高いのでケビン・ポーターJr.とのオフェンシブ・デュオは台風の目になる可能性をもっている。

また、Gリーグ イグナイトからの初のドラフト生であることから、大学よりもNBAに近い環境にあるGリーグでの育成に道筋を作れるかにも注目が集まっている。

3. ジェイレン・サッグス(5位指名:マジック)

1年生ながらゴンザガ大の躍進を支えたジェイレン・サッグスは、正統派PGとしての評価が高い。コートビジョンが非常に広く、ゲームメイクを最大の武器としている。高校時代にはアメフトとバスケットボールでミネソタ州のMVPを獲得したという身体能力があり、カットインからのクイックネスを活かしたオフェンスも期待できる。ただし、アウトサイドシュートは得意といえるレベルではないため、NBAではシュート力の改善が至上命題になるかもしれない。

オーランド・マジックに指名されたことからペニー・ハーダウェイと比較されることもあるが、マーケル・フルツやコール・アンソニーらポテンシャルの高いPGが在籍している。サッグスはコンボガードとしての道もあるが、フルツやアンソニーとの相乗効果をどのように出していくかがチームとしての課題となりそうだ。

ちなみに、次世代No.1女子プレーヤーと目されるペイジ・ビュカーズと同郷の同級生で、彼女と人気を二分するヘイリー・ヴァン・リスと付き合っている。このことから、世界中の女子バスケファン(の男性)から顰蹙を買っている。

4. ジョナサン・クミンガ(7位指名:マジック)

2位指名のジェイレン・グリーンと同じく、Gリーグイグナイト出身のスウィングマン。イグナイトではグリーンと共に全試合にスターターで出場し、攻守でレベルの高いプレーを見せている。身体能力が高くスピードとパワーを合わせ持っており、ディフェンスでもリバウンドやミスマッチを作り出すことができる。

ウォリアーズはケリー・ウーブレJr.がチームを離れ、アンドリュー・ウィギンズにも移籍の噂が絶えない。SFのポジションが手薄であるというチーム状況もあり、クミンガは早々に重要な役割を受けつ持つことになるかもしれない。
スキル面や精神面はまだ発展途上であり現時点では「ポテンシャルの塊」という評価のクミンガだが、昨年ドラフトしたジェームズ・ワイズマンとともにウォリアーズの未来を担っていくことが期待される。

5. ジョシュア・プリモ(12位指名:スパーズ)

順当な指名が多かった2021年ドラフトの中でもサプライズ指名といわれているのが、サンアントニオ・スパーズが12位で指名したジョシュア・プリモだ。昨年アラバマ大で30試合に出場し、平均8.1得点、3.4リバウンドという数字を残しているが、他の1巡目指名選手と比べると物足りない数字であることには間違いない。シューターとしてのポテンシャルは高いが、ターンオーバー数が多い点も懸念事項だ。

スパーズにはウィングの選手が多数在籍しており、即戦力してスパーズがプリモを指名する理由は見当たらない。それでも名将グレッグ・ポポビッチHCのスパーズがプリモを指名したのは才能を開花させることに対する自信の表れだろう。
プリモはまだ18歳と若く、スパーズは過去にカワイ・レナード、トニー・パーカー、マヌ・ジノビリのような殿堂入りレベルの選手をドラフトから育てた実績がある。プリモの指名の可否は数年後に分かりそうだ。

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