【コラム】2020-21プレーイン・トーナメントの解説と予想

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日本時間2021年4月17日の試合で、すべてのプレーオフ/プレーイン進出チームが確定した。
今季も2019-20シーズンに引き続きプレーオフ下位シードを決めるプレーイン・トーナメントが実施される。

目次

2020-21シーズンのプレーイン・トーナメント

プレーイン・トーナメントは、各カンファレンスのレギュラーシーズン7位~10位のチームが、プレーオフ進出を目指して争うことになる。今季のプレーイン・トーナメントは5月19日~22日までの4日間開催され、その後にプレーオフが開催される。

プレーイントーナメントの仕組みとしては3段階となっている。

① 7位と8位のチームが試合勝った方が7位シードとしてプレーオフ進出が確定する。
② 9位と10位のチームが試合負けたチームはプレーイン敗退(=プレーオフ進出NG)となる。
③ プレーオフ8位シードを賭けて、(①の敗者)と(②の勝者)が試合勝った方が8位シードとしてプレーオフ進出

各カンファレンスのプレーイン出場チームは下記の通りだ。

イースタン・カンファレンス

7位    :ボストン・セルティックス(36勝36敗)
8位    :ワシントン・ウィザーズ(34勝38敗)
9位    :インディアナ・ペイサーズ(34勝38敗)
10位  :シャーロット・ホーネッツ(33勝39敗)

ウェスタン・カンファレンス

7位    :ロサンゼルス・レイカーズ(42勝30敗)
8位    :ゴールデンステイト・ウォリアーズ(39勝33敗)
9位    :メンフィス・グリズリーズ(38勝34敗)
10位 :サンアントニオ・スパーズ(33勝39敗)

プレーイン・トーナメントへの批判

プレーイン・トーナメントは、元々はCOVID-19で短縮シーズンとなった2019-20シーズンのイレギュラー制度だったが、2020-21シーズンも形を変えて継続されたという経緯がある。

プレーイン制度が批判される理由として「レギュラーシーズン7位と8位の価値が低い」という点が挙げられる。
例年であればプレーオフ進出が確定する下位シードにいるチームの選手は痛烈にプレーインを批判する傾向がある。たしかにレギュラーシーズンの成績が軽くなることに加えて、余計な試合を行うことで選手への負担は大きくなることは事実だ。プレーオフへの身体的な負担も大きくなり、より下位シードが勝ち抜く上ではハンデとなる。つまり、本来プレーオフ進出を果たせていたはずの7位8位のチームにとっては、非常に重い制度だといえる。

2019-20シーズンに優勝を果たしたロサンゼルス・レイカーズのレブロン・ジェームズが、シーズン終盤にプレーイン・トーナメントを痛烈に批判したのもこの点が大きい(この時点でレイカーズは7位転落していた)。

一方で昨年のバブルのように、参加チームのファンにとっては熱狂的な試合となる可能性が高い。
2019-20シーズンのポートランド・トレイルブレイザーズやフェニックス・サンズの躍進は、昨シーズンのハイライトの1つになっている。単純に重要な試合数が増え、ファンも熱狂的に応援することが予測されることから、収益面も含めてリーグにとっての恩恵は小さくはないだろう。

2020-21シーズン勝敗予想

プレーイン・トーナメントはその性質上、「スター選手の活躍」と「チームの勢い」が鍵となる。継続的に勝つシステムよりも、1試合(もしくは2連勝)でプレーオフ進出が決まる超短期決戦であるため、爆発力が重要だ。

以下に管理人の予想を記載する。

イースタン・カンファレンス

① 7位と8位(セルティクス vs ウィザーズ)

シーズン前はセルティクスの上位シードが予想されていたが、新加入組が噛み合ってるとはいえずジェイレン・ブラウンも左手首の怪我で欠場が決定している。直近10試合で4勝6敗と負け越しており、ブルズやキャバリアーズなどの下位チームの取りこぼしが目立つ。

一方のウィザーズはシーズン序盤~中盤は低迷したものの、後半に勝ち星を積み上げてプレーイン進出を決めた勢いがある。ラッセル・ウエストブルックも徐々に噛み合い出し、ダニエル・ガーフォードを獲得したことでインサイドに動きが生まれた。

ノーガード殴り合えばウエストブルックとブラッドリー・ビールの超攻撃型バックコートを持つウィザーズに分があるが、戦術面ではセルティクスのブラッド・スティーブンスに分がある。セルティクスが勝ち抜くためには、いかにウエストブルックとビールに気持ちよく仕事をさせないかがポイントになりそうだ。

予想:ウィザーズ(7位進出)

② 9位と10位(ペイサーズ vs ホーネッツ)

怪我人続出のペイサーズと、ラメロ・ボールが復帰したホーネッツの一戦。
ペイサーズはTJ・ウォーレンを筆頭にマイルス・ターナー、ジェレミー・ラムら主力を欠いており、キャリス・ルバートやマルコム・ブログドンも万全の状態とはいえない。ネイト・ビョークレンHCの手腕やコーチングスタイルへの批判も報道されており、空中分解一歩手前という見方もある。それでも直近10試合の勝率は5分であり、エースとして覚醒しつつあるルバートと、本来のプレースタイルに回帰したドマンタス・サボニスのコンビは脅威だ。

ホーネッツはラメロが復帰するも、直近10試合では3勝7敗と苦戦している。ペイサーズとの直接対決は2勝1敗だが、最終盤は5連敗しており、流れとしては良くない。ラメロやデボンテ・グラハムらの若手は勢いに乗れば一気にいけるが、本来のペイサーズの強みであるチームディフェンスが機能すれば、かなり厳しい試合になることが予想される。

ペイサーズ、ホーネッツともに安定感のないシーズンを過ごしているが、経験値とアウトサイドシュート確率、ディフェンス・リバウンドへの意識が勝敗を分けそうだ。

予想:ペイサーズ

③  8位決定戦(セルティクス vs ペイサーズ)

互いに主力が怪我で離脱しており、シーズン前の予測よりも厳しいシーズンを送っている。しかし、どちらも地力のあるチームであるため、離脱中の選手の復帰状況によって形勢が容易に変わるマッチアップだといえる。

現時点ではアウトサイドではテイタムとルバートの対決になるが、インサイドではブレイク中のオシェイ・ブリセットとサボニスがどこまで自由に機能するかが勝敗を分けそうだ。

予想:ペイサーズ(8位進出)

ウェスタン・カンファレンス

① 7位と8位(レイカーズ vs ウォリアーズ)

レブロンとデイビスが双方とも怪我で苦しんだレイカーズと、猛烈な追い上げで今季の得点王に輝いたステフィン・カリーが好調を維持するウォリアーズが対戦するファン必見のカード。

ウォリアーズは直近10試合で8勝しており、特に6連勝でシーズンを締めくくった。その中にはジャズ、サンズ、グリズリーズなどが含まれており、シーズン終盤のウォリアーズは非常に厄介なチームになっている。特にカリーは絶好調で、一発勝負のプレーイン・トーナメントでは彼はどのチームにとっても脅威になりえる。

一方のレイカーズも5連勝でシーズンを締めくくっており、こちらもサンズやニックスなど好調なチームが含まれている。デイビスには好不調の波が見られるが、レブロンが怪我の影響が軽微であれば勝ち上がる可能性は高いだろう。バイアウトで獲得したアンドレ・ドラモンドもここにきて+/-差が+に転じており、ウォリアーズの弱点であるインサイドを制圧できる可能性がある。

ウォリアーズとレイカーズの勝敗は予想しにくいが、一発勝負であるプレーイン・トーナメントではカリーほど嫌な選手はいない。ジョーダン・プールやアンドリュー・ウィギンズもシーズン終盤に頭角を見せており、デイビスやドラモンドを自由にプレーさせなければウォリアーズに天秤は傾きそうだが、チーム全体としてはレイカーズに若干分がありそうだ。

予想:レイカーズ(7位進出)

② 9位と10位(グリズリーズ vs スパーズ)

最後の10試合で2勝8敗と厳しい成績に終わったスパーズは、昨年から安定感に欠ける部分がある。エースのデマー・デローザンは好調を維持していたため、デジョンテ・マレーやロニー・ウォーカー四世ら若手選手がデローザンをいかにサポートできるかにかかっていそうだ。
一方のグリズリーズはジャ・モラントがエースになるが、ヨナス・ヴァランチュナスやジャレン・ジャクソンJr.と揃っており、非常にバランスが取れたロスターを誇っている。

両チームとも攻守でバランスが良く、勝敗を決めるのはディフェンスになりそうだ。スパーズは歴戦の名将であるグレッグ・ポポビッチHCが率いており一筋縄ではいかないチームだが、ヤコブ・パートルやルディ・ゲイらのインサイド陣がグリズリーズのヴァランチュナスやJJJをいかに仕事をさせないかという点がポイントとなりそうだ。そうした場合、最終的にはエース対決となり、勢いがあるモラントが勝利を引き込めるかにも注目だ。

予想:グリズリーズ

③  8位決定戦(ウォリアーズ vs グリズリーズ)

かつて王朝を築いたウォリアーズと、地味ながらバランスの良いグリズリーズの対決。

グリズリーズは平均的に勝てるチームではあるが、経験値やチームとしての完成度は未だにウォリアーズが若干勝っているように思う。ドレイモンド・グリーンやアンドリュー・ウィギンスのディフェンス力がペリメーターを抑えることができれば、ウォリアーズが有利に試合を進めそうだ。グリズリーズはカリーを止める必要があり、この部分の戦術的観点がポイントになる。

予想:ウォリアーズ(8位進出)

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