【コラム】ジャズを揺るがすルディ・ゴベアの去就

    現役No.1のリムプロテクターであり、ゴール下の守護神として活躍するルディ・ゴベア。シーズン1,200得点、1,000リバウンドFGpa-成功率65%は、歴代最強Cの1人であるウォルト・チェンバレン以来の歴史的快挙だ。

    コロナウィルスの蔓延の影響でNBAも中断しているが、NBA選手初の感染者となったのは彼だった。インタビュー中にマイクを不用意に触るなど、その行動が物議を醸し出し、チームのエースであるドノバン・ミッチェルもコロナ陽性となったことで、2人の確執が報じられている。こういった経緯もあり、ゴベアの去就がメディアを賑わせている。

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    ジャズの懐事情

    ジャズは現状の契約でミッチェルに次ぐオフェンスの要であるボーヤン・ボグダノビッチ、シューターとして安定した活躍をするジョー・イングルズ、ウイングのディフェンスの軸となりつつあるロイス・オニールといったキープレーヤーに1億1,700万ドル以上を支払う必要がある。ボグダノビッチ、イングルス、オニールはポジションが被っており、特にボグダノビッチとイングルスは求められる役割も近しいことから、ロスターの整理が入ることになるだろう。

    また、エースのミッチェルの契約は2020-21シーズンまでで、2021年オフシーズンには制限付きFAとなる。ミッチェルの次契約は、オールスター選出も含めて大幅な年俸UPになることが予想される。

    つまり、来季以降を見据えるとジャズの金銭的な余裕は多くない。もっと直接的にいえばゴベアとスーパーMAX契約を結ぶか、23歳のミッチェルを中心としたチームに本格的に作り変えるかを選択する必要に迫られる。

    ジャズはゴベアとスーパーMAX契約を結ぶべきか?

    ゴベアは4年契約の3年目であり、再来年にはFAとなる。その場合、5年総額2億5,000万ドルのスーパーMAX契約を結ぶことができる。ゴベアのリムプロテクター、ゴール下でのフィニッシュ力はリーグ随一であることもあり、プレーオフを勝ち進む上ではゴベアの制圧力はチームを後押しするだろう。しかし、スーパーMAX契約がジャズにとってプラスになるかについては、ファンやコメンテーターの間でも見解が分かれている。

    2020−21オフシーズンに制限付きFAとなるミッチェルは2シーズンで平均22.1得点、3.9リバウンド、3.9アシスト1.44スティールを記録しており、名実ともにチームのエースとして認められている。23歳とまだ伸び代が大きく、2020-21シーズン中にも延長契約するのではないかといわれている。ゴベアとミッチェルのコンビはインサイドとアウトサイドの核として機能し、チームは41勝23敗で強豪ひしめくウェスタン・カンファレンスで4位という成績を残している。チームのディフェンスは近年では少し弱体化しているが、ミッチェルは平均34.4分の出場で24.2得点4.4リバウンド4.2アシスト1.0スティールとチームを牽引している。ここで問題となるのは、ゴベアとミッチェルのどちらと大型契約を結ぶべきかということだ。

    過去5年間でスーパーMAX契約を結んだのはステフィン・カリー、ジェームズ・ハーデン、デイミアン・リラード、ラッセル・ウェストブルック、ジョン・ウォールと、名実ともにリーグを代表するスコアラーたちだ。
    これはバスケットボールという球技の特性と関係しているだろう。バスケットボールはいわゆる点取りゲームであり、その本質はオフェンスにある。ディフェンスが100%上手くいってもスコアは0対0であり、試合に勝つことはできない。試合に勝つためにはディフェンスを凌駕するオフェンス力が不可欠だ。

    しかし限られた時間と、シュート成功率の限界などを考えると、相手の得点を妨害するディフェンスが重要な要素となる。世界最高峰の技術と身体能力を持つ選手が集まるNBA、とりわけトーナメント戦であるプレーオフでは、オフェンスを妨害するディフェンスが重要なのだ。しかし、これと同時にディフェンスで勝つためには、一定レベル以上のオフェンス力は必要となる。バスケットボールは常にオフェンス側が優先権を持っており、ディフェンスは相手のオフェンスを100%止めることはできないのだ。

    こうしたバスケットボールの特性により、スーパーMAX契約を得た選手たちがリーグを代表するスコアラーばかりだと考えられる。言い換えると、ディフェンスに特化した選手にスーパーMAX契約を与えることは、試合に勝利することと直結しにくいのだ。

    このように考えると、ゴベアとミッチェルのどちらが大型契約に値するかとなると、ミッチェルを選ぶことになるだろう。27歳のディフェンダーよりも、23歳のスコアラーに将来を託す方が理にかなっている。

    ミッチェル中心のチーム作り

    ゴベアではなくミッチェルと大型契約を結ぶのであれば、それはジャズというチームが名実ともにミッチェル中心のチームになるということだ。その場合、ジャズはゴベアに無償で出て行かれるのではなく、トレードの駒としてミッチェル中心のチームを支えるプレーヤーの獲得を狙うことになるだろう。

    現時点で報じられている案はいくつかあるが、おそらくゴベアの穴を埋められ、ミッチェルのプレースタイルと合う機動力のあるビッグマンを狙うだろう。また、優勝を狙う強豪チームがゴベアの有力な移籍先となるため、数年前のセルティクスのようにドラフト1巡目指名権を集めることも考えられる。

    球団副社長のデニス・リンジーは、「コロナの影響でドノバンとルディのお互いへの感謝の気持ちが強まった。もっと重要なのは、彼らの根底に『NBAチャンピオンになるためにはお互いの存在が必要だ』という考えがあることだ。」と語ったが、チーム事情も考えるとその言葉通りに今後も進むとは考えにくい。

    コロナウイルスの影響でNBAは中断しており、10月までのシーズン延長や無観客試合も検討されている。不透明な状況ではあるが、2020-21シーズンまでには何かしらの動きがあるだろう。

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