ベン・シモンズ、ジャンプシュートを克服し更なる高みを目指せるか?

    2016年にドラフト1位指名を受け、翌2017年に本格的にNBAデビューを果たしたベン・シモンズ。開幕戦で18得点/10リバウンド/5アシストのオールラウンダーぶりを発揮した勢いそのままに、2017−18シーズン新人王に輝いた。

    208cmの高身長にもかかわらず、PGで起用されるほどの高い視野とアスレチック能力を持っており、そのプレースタイルからキャリア初期のレブロン・ジェームズとも比較され、「レブロンの後継者」とも目される若きオールスターだ。そんな彼の唯一の弱点と言われるのが、ジャンプシュートだ。

    目次

    シクサーズにおける3Pシュートの重要性

    現代NBAでは3Pシュートが多用され、ミドルシュートは効率が悪いとされている。稀代のシューターであるスティン・カリーとクレイ・トンプソン擁するウォリアーズの成功によってこの傾向はNBA全体のトレンドとなったが、史上最高のEU出身選手と呼ばれるダーク・ノヴィツキーの成功がスタートだった。

    ウォリアーズ王朝と、2010-11シーズンに優勝を果たしたマーベリックスの共通点は多いが、分かりやすい特徴は、「センター以外の4人が全員3ポイントシュートを打てる」ことと「センターの機動力が高い」という点だ。この傾向は2018−19シーズンに優勝を果たしたラプターズにも言える。

    タイソン・チャンドラー、アンドリュー・ボーガット、ジャベール・マギーの3人はゴール下を制圧できるリバウンド力とパワーを持っている。ボーガットは技巧派な傾向が強かったが、少なくとも全員が縁の下の力持ちとしてチームを支えていた。この構図は2019-20シーズンのシクサーズと似ている。

    シモンズを除くロスターとしては、ヒートから獲得したジョシュ・リチャードソン、昨年クリッパーズから獲得したトバイアス・ハリス、セルティクスから獲得したベテランPFのアル・ホーフォードと、いずれもアウトサイドシュートを打てる布陣を配置している。また、センターには現代NBAで最高のビッグマンの1人であるジョエル・エンビードがいる。オフェンス面、ディフェンス面でもリーグ最高峰の布陣だといえる。

    オフェンス面ではホーフォードが入ったことでよりボール配給がスムーズになることが予想されるが、インサイドの攻守の要であるにエンビード加えてホーフォードが加入したことで、ペイントエリアのスペースを如何にシェアしていくかがオフェンス戦術上の課題となる。これは、スラッシャー型のオフェンスを得意とするシモンズともプレーエリアが重なるため、チームの歯車が狂うとしたらこの部分だろう。

    インサイドプレーの強さの反面、シクサーズのアウトサイドは昨年よりも弱体化している。昨年途中に加入し、クラッチショットを担当することも多かったジミー・バトラーが退団し、控えとして貢献度が大きかったTJ・マッコネルやJJ・レディックを失った。

    チームの第3オプションを担ったトバイアス・ハリスとの再契約は成功し、ヒートから3Pを撃てるジョッシュ・リチャードソンを獲得したが、昨年と比べるとバックコート陣の弱体化は避けられない。

    そこで求められるのが、シモンズのアウトサイドでの得点力だ。

    バスケットボールの特性上、PGであるシモンズが攻撃の起点となることが多い。シモンズの突破力やパスセンスには疑いの余地はないが、ジャンプシュートという選択がない以上、相手ディフェンスはインサイドに守りを集中できる。シモンズのアウトサイドシュートをディフェンスが無視できると、ディフェンス側としてはエンビードやホーフォードに集中することができ、結果としてシモンズがカットインするスペースを潰すことができる。こうなると個人技とシュートの好不調に頼るオフェンスになってしまい、プレーオフではより大きな問題になる可能性がある。

    これらの課題は、シモンズがジャンプシュートを克服することである程度解決することができる。ゴール下での支配力を持つエンビードがボールを持つとディフェンス側はダブルチームを行うことを余儀なくされる。そこからシモンズ、リチャードソン、ハリスにキックアウトすることができ、より柔軟なオフェンスシステム得ることができる。また、視野が広いホーフォードをポイントフォワードとして起点にするオフェンスパターンも想定でき、ディフェンスは的を絞りにくくなる。

    結果論にはなるが、こうしたオフェンスシステムを敷くことができれば、優勝に大きく前進すると同時に、シモンズのMVP受賞も遠い話ではないだろう。

    オフに3Pシュートを猛特訓

    「Swish Cultures」は、シモンズの練習風景をインスタグラムに投稿した。

    この動画では、主にミドルシュートを練習している様子が見られる。ステップバックやフェイダウェイシュートなど、かなり実践的な動きを取り入れていることが伺える。NBAレベルのコンタクトではないとしても、NBAで3Pシュートを決めていない選手の動きには見えない。シモンズのボールハンドリングはNBAトップクラスであり、実践で平均レベルのシュート力を披露できれば大きな武器となるだろう。


    以前、シモンズは取材で次のように語っている。

    僕は飲み込みが早い方だけど、時間はかかってしまうだろうね。コートに出て、すぐに3ポイントシュートを決められるようになんてならない。それは自分のプレーじゃないからね。ただ、ミッドレンジ、エルボーからのシュート、3ポイントシュートは打っていく。すべてのシュートは決められないけれど、大事なのは打つこと。そういうメンタルを持つことの方が大事だから。


    シモンズのシュート力向上は、シクサーズの2001年以来のNBAファイルナル進出、そして優勝を目指すチームには不可欠だ。

    シモンズがシュート力をつけることで、自身のオフェンスバリエーションも増え、エンビードやホーフォードとの相乗効果も見込めるだろう。近い将来にエンビードとともにシクサーズを優勝に導くことが現実的になる。また、ビンス・カーターのように息の長いキャリアを築く礎になる。

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