6度オールスターに選出され、一時はリーグ有数のPFと評価されていたブレイク・グリフィンが所属するデトロイト・ピストンズとのバイアウトに合意し、ブルックリン・ネッツと契約した。
ブルックリン・ネッツと今季終了までの契約

優勝を目指す強豪チームから注目を集めていたグリフィンの去就だが、彼が選んだのはイースタン制覇を伺うネッツだった。ネッツはケビン・デュラントとカイリー・アービングを擁し、2021年1月には大型トレードでジェームズ・ハーデンを獲得した。デュラント/カイリー/ハーデンの超攻撃型”BIG3″は当初は噛み合わなかったものの、ハーデンが潤滑油として機能しだしてからは勝ち星を重ね、イースタン2位につけている。

ESPNの報道によると、グリフィンの契約は今季終了までの契約とのことで、ネッツが優勝を視野に入れた”ラストピース”としてグリフィンを獲得したのは間違いないだろう。
グリフィン獲得はネッツの”ラストピース”か?

ネッツにはデュラント/カイリー/ハーデンの”BIG3″に加えて、クリッパーズ時代にロブシティを結成した盟友ディアンドレ・ジョーダンが在籍している。ここにグリフィンが加わることで、さながら数年前のオールスターチームのようなロスターを実現した。
スティーブ・ナッシュHCをはじめ、マイク・ダントーニAC、アマレ・スタウドマイヤーACと、2000年代にフェニックス・サンズでラン&ガン戦術で一世を風靡した超攻撃型チームのメンバーが指揮を執っているということもあり、ファンとしては「ロブシティ」の再来を期待したいところではある。
しかし、おそらくロブシティの再現にはならないだろう。
クリッパーズ時代のグリフィンは、司令塔のクリス・ポールからのアシストでジョーダンとともに速攻から豪快なダンクを叩き込んでいたが、度重なる膝の怪我によって近年ではアウトサイドシュート主体のプレースタイルに変更している。NBA分析サイトの「StatMuse」によるとグリフィンが最後にダンクしたのは2019年で、今季はまだ1度もダンクをしていないというデータもあり、速攻でのオフェンスに関してはかつての輝きを取り戻すことは難しいかもしれない。
チームスタッツ | リーグ順位 | |
PTS | 121.1 | 1位 |
TRB | 44.3 | 14位 |
ORB | 8.6 | 24位 |
DRB | 35.6 | 7位 |
AST | 27.2 | 2位 |
BLK | 5.4 | 7位 |
TOV | 14.4 | 18位 |
OFF Rtg | 119.1 | 1位 |
DFE Rtg | 114.2 | 26位 |
ネッツは前リーグ屈指のスコアラーを3人も擁しており、オフェンス・レーティングは現時点でリーグ1位だ。デュラント/ハーデン/カイリーはコートのどこからでも得点することができ、ハーデンが潤滑油として機能していることもあってオフェンスに関しては今のところ大きな問題は見当たらない。
反面、ディフェンス・レーティングはリーグ26位と低迷している。
それを示すように勝った試合では相手の得点を平均112.0点に抑えているが、敗れた試合では平均123.7失点と10点以上失点が多くなっている。特にセカンドチームでの+/-差が小さくなっていることもあり、セカンドチームのディフェンス改善はプレーオフを勝ち抜く上で大きなポイントになりそうだ。
こうしたチーム状況を鑑みると、グリフィンにはスコアラーとしての役割が与えられたクリッパーズ時代とは異なり、セカンドユニットでのディフェンダーとしての活躍が期待されているのではないだろうか。
2019−20シーズン | 2020−21シーズン | |
6フィート以内 | 3.9 | 3.2 |
10フィート以内 | 7.4 | 3.0 |
15フィート以上 | 6.7 | 3.2 |
しかし、今季のグリフィンのディフェンスはどのエリアでも対戦相手に平均より3点以上得点を許している状態だ。
オフェンスよりもディフェンスに課題があり、アウトサイドでのプレーが主体となっているグリフィンがネッツの課題を解決できる”ラストピース”かは未知数だ。
ただ、元オールスターのビッグマンを単年ミニマム契約で獲得できたことは、ネッツにとってはリスクが非常に低く、昨年のドワイト・ハワードのように当たればリターンが大きな契約だといえるだろう。