【コラム】2019-20シーディングゲーム注目チームをピックアップ

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2020年7月31日、フロリダ州オーランドで2019-20シーズンが再開された。約4か月にわたるシーズン中断、COVID-19や人種問題が終息していないなかでの再開と、前例のないシーズンとなる。

オーランドでのシーズンに参加するのはプレーオフ圏内の22チームで、各チーム8試合の順位決定戦(シーディングゲーム)を行い、プレーオフに進出する16チームが決定される。シーディングゲーム終了時の各カンファレンス8位と9位のゲーム差が4ゲーム以内だった場合は、追加で「第8シード決定戦」が実施されることになる。異例尽くしのプレーオフになる2019-20シーズンだが、シーディングゲームはプレーオフ出場を争うだけでなく、プレーオフを占う上でも重要な試合となるだろう。

今回はシーディングゲームでの注目チームを、管理人の独断と偏見で東西各3チームずつ紹介する。今回はあくまでプレーオフを見据えたシーディングゲームの注目チームを選んだ。

目次

シーディングゲームの注目チーム(イースタン編)

順位         チーム名        勝率  PO当確 ゲーム差 
1ミルウォーキー・バックス.815
2トロント・ラプターズ.7196.5
3ボストン・セルティックス.6729.5
4マイアミ・ヒート.63112.0
5インディアナ・ぺイサーズ.60014.0
6フィラデルフィア・セブンティシクサーズ.60014.0
7ブルックリン・ネッツ.46922.5
8オーランド・マジック.46223.0
9ワシントン・ウィザーズ.37528.5

トロント・ラプターズ

2018-19シーズンにチーム初の優勝を果たしたラプターズだが、チームを牽引したカワイ・レナードはオフにクリッパーズへと移籍し、プレーオフ当落線上に落ち着くと予想されていたが、「全員オフェンス・全員ディフェンス」で勝ち星を積み重ね、強豪バックスに次ぐイースタン2位につけている。

ファイナル進出や連覇を見据えた場合、全員オフェンス・全員ディフェンスという強みを活かしながらも、要所での個人技が必要になってくる。その役割を期待されるエースのパスカル・シアカムが、真の意味でエースになれるかがキーポイントとなりそうだ。また、チームバスケットを標榜するニック・ナースHCの戦術が、スターパワーの高い優勝候補相手にどこまでやれるのかという点は、シーディングゲームからプレーオフにかけての注目点だ。

フィラデルフィア・セブンティシクサーズ

2019-20シーズン開幕前には、優勝候補であるバックスの対抗馬とみられていたシクサーズは、不甲斐ないシーズンを過ごしている。トバイアス・ハリスとアル・ホーフォードとの契約のためにベンチメンバーは昨年から弱体化し、スターターの噛み合わせも上手くいかないままシーズン中断を迎えた。

大型契約を行ったホーフォードのベンチ起用など暗い話題が多かったのは事実ではあるが、若手のマティス・サイブルとシェイク・ミルトンの成長という明るい話題もあった。ミルトンは先発起用された試合では平均14.1点、FG成功率53.9%、3P成功率50.0%と特筆すべき数字を残している。ミルトンの成長によってベン・シモンズをPFで起用するプランが現実的になり、チームのバランスが良くなる可能性が示唆されている。また、サイブルはディフェンダーとして既にリーグ有数の成績を残しており、選手パワーが高いプレーオフでのキープレーヤーの1人となりそうだ。

ミルトンとサイブルの成長は、シクサーズが抱えていた多くの課題を解決する可能性があり、プレーオフに向けて実戦調整していくものと思われる。リーグ屈指実力を持つロスター陣が噛み合えば、イースタンの台風の目になる可能性は十分にありそうだ。

ワシントン・ウィザーズ

八村塁の指名によって日本での知名度が爆発的に高まったウィザーズだが、8位のマジックと5.5ゲーム差とプレーオフ進出はかなり厳しい状態だ。エースのブラッドリー・ビール、今季ブレイクを果たしたダービス・ベルターンスがシーズン不参加を表明したこともあり、シーディングゲームでも厳しい戦いを迫られそうだ。

ビールのシーズン不参加により、八村がチームの第1オプションとなるとみられている。客観的にみて八村はまだ攻守で課題が多く、特に試合終盤に存在感がなくなること少なくなかった。実情としては、スタッツほどの活躍はできていないというのが正直なところだ。しかし、来季はジョン・ウォールとビールの復帰が予定されており、インサイドの核として八村を起用できれば、ウィザーズが2020-21シーズンの目玉になる可能性を秘めている。来季を見据えた場合、八村をエースとして戦うシーディングゲームは、今後のウィザーズのチーム構築に大きな影響を及ぼすことになりそうだ。

シーディングゲームの注目チーム(ウエスタン編)

順位         チーム名        勝率  PO当確 ゲーム差 
1ロサンゼルス・レイカーズ.778
2ロサンゼルス・クリッパーズ.6885.5
3デンバー・ナゲッツ.6627.0
4ユタ・ジャズ.6418.5
5オクラホマシティ・サンダー.6259.5
6ヒューストン・ロケッツ.6259.5
7ダラス・マーベリックス.59711.0
8メンフィス・グリズリーズ.49218.0
9ポートランド・トレイルブレイザーズ.43921.5
10ニューオーリンズ・ペリカンズ.43821.5
11サクラメント・キングス.43821.5
12サンアントニオ・スパーズ.42922.0
13フェニックス・サンズ.40024.0

デンバー・ナゲッツ

ロサンゼルスに在籍する2チームの陰に隠れがちではあるが、今季のナゲッツも手強く、ウェスタンカンファレンス3位につけている。コートビジョンと機動力に優れたセンターの二コラ・ヨキッチを筆頭に、突破力のあるジャマール・マレー、攻守で高いアスレチック能力を発揮するジェレミー・グラントと、一筋縄ではいかないメンバーが揃っている。オールスター後は安定感に欠ける試合も多かったが、それでもナゲッツがカンファレンス・ファイナルに駒を進める可能性は低くない。

再開前の練習試合でマイケル・マローンHCはヨキッチ、グラント、ポール・ミルサップ、メイソン・プラムリー、そしてルーキーのボル・ボルという超ビッグラインナップを試して世間を驚かせた。練習試合ではあったが、ヨキッチのパスセンスに加えて、「2019年ドラフト最大の掘り出し物」との評されるボルのガードのような動きは、彼の能力を証明するに十分すぎる活躍だった。また、評価が非常に高いマイケル・ポーターJrも在籍しており、主力ロスターが安定しているだけに、ボルやポーターJrの成長がそのままナゲッツ躍進の原動力になりそうだ。

ヒューストン・ロケッツ

ナゲッツとは対照的にスモール・ラインナップで勝負しているのがロケッツだ。オフにクリス・ポールを放出し、代わりにラッセル・ウエストブルックを獲得したことで、ジェームズ・ハーデンとともに超攻撃的バックコートデュオを結成した。ハーデンとウエストブルックの噛み合いは戦前の予想通り上手くいっているとはいえない状態ではあったが、シーズン後半に勝ち星を増やしたことで徐々にチームの歯車が噛み合い出す予感を抱かせた。

ハーデンとウエストブルックはともにボールを保持してナンボの選手であるが、2人を中心にオフェンスが噛み合ったロケッツがアップセットを起こしても不思議ではない。それほど強力なオフェンスラインナップをもっていることがロケッツの強みであり、ロケッツのオフェンス力はどのチームのディフェンスも上回ることができる。スモールラインナップが成功した場合、ロケッツは今プレーオフのダークホースになる可能性がある。

ポートランド・トレイルブレイザーズ

ウェスタンカンファレンスは、プレーオフ進出をかけて5チームが4ゲーム差以内という混戦状態だ。その中でも、台風の目として注目を集めているのはブレイザーズだ。
怪我で離脱していたユスフ・ヌルキッチとザック・コリンズが戻ってくることで、本来のラインナップでシーズン再開を迎えることができる。練習試合ではヌルキッチとコリンズが入ったことでボールムーブが円滑になり、2018-19シーズンのような流動的なオフェンスが組み立てられるようになっていた。また、ハッサン・ホワイトサイドを起用した場合の弱点となっていたペリメーターでのディフェンスについても大幅に改善されていたように思う。

加えて、シェイプアップによってカーメロ・アンソニーをSFで起用することができるようになる見込みだ。デイミアン・リラード、CJ・マッカラムに次ぐオプションとして機能すると仮定した場合、カーメロはグレートなロールプレーヤーになることができる。練習試合では以前よりもクイックネスが上がったプレーを披露しており、対戦相手はディフェンスの的を絞ることがより困難になるだろう。また、1年近くリーグを離れていたこともあり、カーメロ自身の意識が高まっている。それはディフェンス面で表れており、シーズン中断前から数字に残らないハンドチェックなどを頻度高くで行っていた。

ヌルキッチとコリンズが復帰し、リラード、マッカラム、カーメロで挑むシーディングゲームは、プレーオフ争いを行う他球団にとっては脅威だ。波に乗ると一気に勝ち星を増やす可能性があり、ブレイザーズはシーズン再開後の台風の目になりえる要注目チームだ。

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