【2019-20プレビュー】ゴールデンステイト・ウォリアーズ

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目次

オフシーズンの動き

加入・ディアンジェロ・ラッセル(BKN)
・ウィリー・コーリー・スタイン(SAC)
・アレック・バークス(SAC)
・グレン・ロビンソン三世(DET)
・オマリ・スペルマン(ATL)
・マーキーズ・クリス(CHI)
・ジョーダン・プール(Draft28位)
・アレン・スマイラギッチ(Draft39位)
・エリック・パスカル(Draft41位)
・アンドリュー・ハリソン(FA)
・ファン・タスカノ・アンダーソン(FA)
・デビン・マーブル(FA)
・カイ・ボウマン(Draft外)
                 
退団・ケビン・デュラント
・アンドレ・イグダーラ
・デマーカス・カズンズ
・アンドリュー・ボーガット
・ケビン・クック
・デイミアン・ジョーンズ
・ジョーダン・ベル
・マーカス・デリックソン
・ジョナス・ジェレブコ
・ショーン・リビングストン
                 

予想ロスター

PGSGSFPFC
1stステフィン・
カリー
ディアンジェロ・
ラッセル
アルフォンゾ・
マッキニー
ドレイモンド・
グリーン
ケボン・
ルーニー
2ndジョーダン・
プール
アレック・
バークス
グレン・
ロビンソン三世
エリック・
パスカル
ウィリー・
コーリー・
スタイン
3rdジェイコブ・
エバンス
オマリ・
スペルマン
アレン・
スマイラギッチ
4thクレイ・
トンプソン*
マーキーズ・
クリス
5th                                   

2019-20シーズンの展望

5年に渡り王朝を築いたゴールデンステイト・ウォリアーズは、2018-19シーズンも優勝候補の筆頭だったが、チームのコアであるクレイ・トンプソン、ケビン・デュラント、デマーカス・カズンズらを怪我で欠いたチームは、伏兵トロント・ラプターズにNBAファイナルで敗れた。

長期王朝を築いた代償としてチームは満身創痍で、欠場を余儀なくされたトンプソンやデュラントだけでなく、ステフィン・カリードレイモンド・グリーンも小さな怪我を抱えていた。5年連続でファイナル進出し、うち3回の優勝を果たしたチームは転換期を迎えており、今オフに4度の得点王に輝いているデュラントをブルックリン・ネッツに放出したことでチームは体制変更を余儀なくされた。優勝のために加入したデマーカス・カズンズ、黄金期のオリジナルメンバーでファイナルMVPを獲得したこともあるアンドレ・イグダーラがチームを去り、安定感のある仕事を続けていたショーン・リビングストンは引退を決意した。

カリーとトンプソンの2枚看板こそ健在だが、ウォリアーズはプチ再建期に入ったといって良いだろう。

デュラントの代わりにネッツから獲得したのは、ディアンジェロ・ラッセルだ。

ラッセルは2015年にドラフト2位指名を受け、NBA入り当初から期待値は高かったが、レイカーズでは試合内外で未熟な部分がフォーカスされていた。ネッツに移籍した昨年は平均21.1点、3.9リバウンド、7.0アシストの成績を残したことで初のオールスターにも選出され、見事にブレイクを果たした。勝負強さも兼ね備えており、若手主体のネッツで一気に開花した形だ。

ウォリアーズはSGのトンプソンが左膝前十字靭帯の断裂で長期離脱中のため、トンプソンの復帰までは先発SGをラッセルが務めることになる。チームにフィットするようであればトンプソン復帰後も、ラッセルをSGに据えてトンプソンを層が薄いSFで起用するパターンも考えられる。カリー、ラッセル、トンプソンの「新スプラッシュ・ブラザーズ」が機能すれば、バックコートの得点力は脅威だ。しかし、ラッセルの本来のポジションはPGであり、得点力を活かすためにはある程度のボール保持が必要になる。カリーとフィットするかは実際にプレーするまでは不明瞭だ。

SGには得点力に優れたアレック・バークス、バランス型のジェイコブ・エバンス、ルーキーのジョーダン・プールと層は厚いが、安定感という面では不安が残る。ラッセルもSGでのプレーが見込まれるため、人員過多なポジションであるともいえる。トンプソンの怪我の状況、ラッセルのフィット具合次第にはなるが、ロスターの整理が必要になるかもしれない。

バークスやエバンスにある程度SGを任せることができると判断できれば、リビングストンが抜けたことで薄くなったPGにラッセルを入れることができる。シュート力、パスセンスを考えるとラッセルのベストポジションはPGであり、現状のメンバーでシーズンを戦うのであれば、エバンス、プールの成長はチームにとって大きな鍵となるだろう。

一方でフロントコートに目を向けると、ドレイモンド・グリーンが健在のPF以外の穴は大きい。

デュラントとイグダーラが抜け、トンプソンも復帰まで時間を要する。となると、グレン・ロビンソン三世とアルフォンゾ・マッキニーしかいないSFは厳しい状況だ。3年目のマッキニーは3&Dとして期待できるが、先発を安心して任せられるレベルにはない。また、ロビンソンもセンスの高さを感じさせるプレーを披露したが、前任者と比べるとスケールダウンした感は否めない。ウォリアーズ王朝を影から支えたイグダーラの安定感と守備力は、ウォリアーズの強みの1つだった。クリッパーズのカワイ・レナードとポール・ジョージ、レイカーズのレブロン・ジェームズとカイル・クーズマ、バックスのヤニス・アデトクンボと、優勝候補と目されるチームにはスーパースター級のSFが在籍している。グリーンがこの穴を埋められるかは重要なポイントだが、イグダーラが抜けた穴は非常に大きい。

Cにはサクラメント・キングスから機動力とリバウンドが期待できるウィリー・コーリー・スタインを獲得した。スタインは2018-19シーズンは平均11.9点、8.4リバウンドとインサイドで安定した数字を残した。同水準の数字をウォリアーズで残すことができれば、チームのXファクターになり得る。また、バスケットIQが高く、泥臭いプレーも厭わないケボン・ルーニーは守備面や数字に残らない部分での活躍が期待できる。彼がアンドリュー・ボーガットやザザ・パチューリアらがチームを支えてきた仕事を担うことができれば、スターターに定着する可能性もある。

PFについてはグリーンが健在であれば計算できるポジションだ。しかし、昨年まではデュラントやイグダーラがPFに入る場面も多かったことを考えると、グリーンに掛かる負担はより大きなものになることが予想される。グリーンが離脱した場合、2年目のオマリ・スペルマンと、ルーキーのエリック・パスカルの2人が起用されることになるが現状は心許ない。

デュラントとイグダーラの放出、リビングストンの引退と変革を迎えたウォリアーズは、過去数年間の圧倒的な強さはないだろう。チームの2ndオプションであるトンプソンの復帰時期も未定であることから、カリーとグリーンにかかる負担は非常に大きくなる。

昨年はオフェンスでリーグ2位、ディフェンスで16位に終わったが、どちらもキープレーヤーが移籍したことで今季は両方でレーティングを下げる可能性が高い。カリーとグリーンが健康で、新加入のラッセルやスタインが噛み合えばアップセットを起こす可能性はあるが、それでもプレーオフ当落線上が現実的だろう。

優勝候補であるクリッパーズ、レイカーズ、ロケッツ、シクサーズなどと比べるとスケールの小ささは否めず、ポジション別のバランスも良くない。ウォリアーズの時代が終わるのか、それとも予想に反して勝ち進むのか。チームの方針を考える上で、今季はウォリアーズにとって重要なシーズンになることは間違いない。

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