オフシーズンの動き
加入 | ・テリー・ロジアー(BOS) ・PJ・ワシントン(Draft 12位) ・コディ・マーティン(Draft 36位) ・ジェイレン・マクダニエル(Draft52位) ・ロバート・フランクス(Draft外) | 退団 | ・ケンバ・ウォーカー ・ジェレミー・ラム ・フランク・カミンスキー ・トニー・パーカー |
予想ロスター
PG | SG | SF | PF | C | |
1st | テリー・ ロジアー | ニコラ・ バトゥーム | マイルズ・ ブリッジズ | マービン・ ウィリアムス | コディ・ ゼラー |
2nd | デボンテ・ グラハム | マリーク・ モンク | マイケル・K・ ギルクリスト | PJ・ ワシントン | ビズマック・ ビヨンボ |
3rd | ドゥエイン・ ベーコン | コディ・ マーティン | ジェイレン・ マクダニエルズ | ヴィリー・ エルナンゴメス | |
4th | ロバート・ フランクス | ||||
5th |
2019−20シーズンの展望
2018-19シーズンのシャーロット・ホーネッツは、イースタン9位とプレーオフ進出まであと一歩の成績を残した。その中心にいたのは、生え抜きエースのケンバ・ウォーカーだ。
ケンバは1試合平均25.6点を記録し、1試合60点ゲームをはじめ、40点超えのゲームを連発するまさに鬼気迫るプレーを披露した。ケンバに次ぐ得点源に成長したのは、3&Dとして開花したリーグ7年目のジェレミー・ラムだ。マリーク・モンク、マイルズ・ブリッジズといった生え抜きのドラフト指名選手が精彩を欠き、マイケル・キッド・ギルクリスト、フランク・カミンスキー、コディ・ゼラーらベテランが怪我で離脱するチーム状況のなか、ケンバとラムのバックコートコンビの活躍で勝ち星を増やした。
今オフにホーネッツは、チームの絶対的エースのケンバをセルティクスに放出し、2ndオプションに成長したラムを引き止めることをしなかった。過去の高額契約によって追加の高額オファーができないという事情はあるが、チームの1番手と2番手を同時に失ったことで、ホーネッツは本格的な再建モードに入りそうだ。
ケンバの代わりとして白羽の矢を立てたのは、セルティクスの控えPGとして活躍していたテリー・ロジアーだ。ロジアーはケンバと似たタイプのスコアリングPGであるが、ケンバほどの実績とインパクトはなく、チームリーダーとしての資質も未知数だ。セルティクスではカイリー・アービングが欠場していたシーズンは主力級として活躍したものの、昨年は平凡な数字に終わっており、3年5,800万ドルの契約は割高感は否めない。また、平均3アシスト以上を記録したことがなく、ブリジッズやモンクらの成長を促したいホーネッツに噛み合うかも疑問だ。
SGには安定感のあるニコラ・バトゥーム、爆発力があり飛躍が期待されるマリーク・モンクがおり、PGと比べるとバランスは良い。SFのマイケル・キッド・ギリクリストとバトゥームは、チームに堅実に攻守で貢献できるタイプであるため、ロジアーとの相性も悪くないだろう。
また、2年目のマイルズ・ブリッジズが先発SFを任せられると思われる。評価の高いディフェンスに加えて、大学で平均17.0得点を獲得したオフェンス力を期待されている。現時点ではロジアーがチームの1stオプションになるだろうが、プレーオフ進出を見据えるとブリッジズとモンクの成長が不可欠だ。
インサイドには、ケンタッキー大学のPJ・ワシントンをドラフト12位で指名した。ワシントンは昨年大きく成長し、平均12.9点、6.6リバウンド、1.03ブロックという数字を残した。FG成功率52.1%、3P成功率38.7%と高確率でシュートを決めることができることに加え、219cmのウイングスパンを駆使した守備力にも定評があり、3&Dとしての成長が期待できる。安定感のあるベテランのマービン・ウィリアムスが先発PFを務めるだろうが、ワシントンの成長次第ではシーズン途中から先発に抜擢される可能性は低くないだろう。
一方、Cは昨年と同じくコディ・ゼラー、ビズマック・ビヨンボ、ヴィリー・エルナンゴメスの3人が務める。機動力があるゼラーとエルナンゴメス、守備に秀でた肉体派のビヨンボとバリエーション豊かで、ホーネッツでもっとも安定したポジションだ。しかし、昨年リーグ17位に終わったディフェンスの改善は必要だ。
ロジアー、モンク、ブリッジズの出来次第ではあるが、スモールラインナップを多用する戦術が上手くいけば、ワシントンがCとして起用される場面も予想される。 長年エースとして活躍してきたケンバ・ウォーカーを放出し、チームリーダーとしてもエースとしても未知数のロジアーと高額契約を結んだチーム方針には疑問が残る。それでも、爆発力のある3年目のモンクと、身体能力の高い2年目のブリジッズ、攻守で活躍できる可能性のあるワシントンの2番〜4番には可能性を感じる。彼らをロジアーやバトゥームがフォローする体制になれば、予想に反してプレーオフ争いをする可能性もゼロではない。
スモールマーケットであるホーネッツは、潤沢な予算や大物FAにアピールできる要素が多くない。そういった市場にありながら、サポートタイプの選手であるバトゥームやウィリアムズに高額契約を与えるなど、ホーネッツ首脳陣のチーム作りには首を傾げざるえない。チームの1番手・2番手を何の見返りもなく放出するチームはNB全体でも多くはないだろう。
ドラフトした選手を育て、フランチャイズプレーヤーとして長く活躍してもらうのが、スモールマーケットにとっては一番の近道だ。そういう意味でも絶対的エースだったケンバが抜けた2019-20シーズンは、今後のチーム運営にも大きく関係しそうだ。