オフシーズンの動き
加入 | ・アンドレ・イグダーラ(GSW) ・ジョシュ・ジャクソン(PHX) ・ディアンソニー・メルトン(PHX) ・ソロモン・ヒル(NOP) ・マイルズ・プラムリー(ATL) ・タイアス・ジョーンズ(MIN) ・ジェイ・クロウダー(UTA) ・グレイソン・アレン(UTA) ・ジャ・モラント(Draft2位) ・ブランドン・クラーク(Draft21位) ・ジョン・コンチャー(Draft外) | 退団 | ・マイク・コンリー ・ジャスティン・ホリデー ・デロン・ライト ・CJ・マイルズ ・タイラー・ゼラー ・ジョアキム・ノア ・エイブリー・ブラッドリー ・チャンドラー・パーキンス ・ジェボン・カーター ・ジュリアン・ウォッシュバーン ・タイラー・ドーシー |
予想ロスター
PG | SG | SF | PF | C | |
1st | ジャ・ モラント | ジョシュ・ ジャクソン | ジェイ・ クラウダー | ジャレン・ ジャクソンJr | ヨナス・ ヴァランチュナス |
2nd | タイアス・ ジョーンズ | デイロン・ ブルックス | カイル・ アンダーソン | ブランドン・ クラーク | マイルズ・ プラムリー |
3rd | ディアンソニー・ メルトン | グレイソン・ アレン | ソロモン・ ヒル | アンドレ・ イグダーラ* | |
4th | 渡邊雄太 | ||||
5th |
2019−20シーズンの展望
メンフィス・グリズリーズは、長年チームを支えたマルク・ガソルをトロント・ラプターズに、12年に渡ってチームを支えたマイク・コンリーをユタ・ジャズに放出した。さらにクリス・ウォーレスGM、JB・ビッカースタッフHCを解任したことで、グリズリーズは本格的な再建モードに入ったといえるだろう。
グリズリーズが2019ドラフト2位で指名したのは、マリーステイト大学のジャ・モラントだ。モラントは抜群の身体能力に加えて、プレーメイクに優れたPGと評されている。NCAAではアシスト王を獲得し、スピード感のあるプレーで一躍スターダムにのし上がった。フィジカル面での心配はあるが、得点力・スピード・アシスト・コートビジョンを兼ね備えており、上手くいけばクリス・ポールのようになれる可能性がある。今年のドラフトは「ザイオン・ドラフト」と言われるほどザイオン・ウィリアムソン一色だったが、モラントを1位指名すると予想されたチームもあったほどの潜在力を秘めている。

モラントと合わせて期待されているのは、ガソル放出後に覚醒の兆しをみせた2018年ドラフト4位のジャレン・ジャクソンJr.だ。ジャクソンJrは昨年13.8点、4.7リバウンドとルーキーイヤーとしてはまずまずの成績を残し、今季はチームの中心としての飛躍が期待される。高いアスレチック能力に加えて、3Pシュートも上手くFG成功率50.6%、3P成功率35.9%という数字を残している。
ジャクソンJrの控えには、ゴンザカ大学で八村塁のチームメイトとしてプレーしたブランドン・クラークを据えることになる。ウォリアーズから獲得したアンドレ・イグダーラは攻守でチームを引っ張ることができる選手だが将来的なチームビジョンには入っておらず、イグダーラも残りのキャリアを再建中のグリズリーズで過ごす気はないとのことで、シーズン中にトレード先を探すことで合意している。最悪の場合、チームに帯同しないことも考えられる。
クラークは、ラスベガスで行われたサマーリーグで14.7点、9.8リバウンドと活躍し、サマーリーグMVPを獲得している。NBAレベルで即戦力になれるかは未知数だが、イグダーラが構想に入っていない以上、プレー時間が増えると思われる。2way契約にはなるが、渡邊雄太も3番手4番手としての起用があり得る。
SFには泥臭いディフェンスを持ち味とするジェイ・クラウダーを筆頭に、守備面で貢献できるカイル・アンダーソン、一時は主力級の活躍が期待されたソロモン・ヒルと地味ながら頭数はそろっている。しかし、全般的にサポートとして活躍する選手が多く、モラントやジャクソンJrがチームのエース級の仕事をする必要がある。
Cには昨年獲得したヨナス・ヴァランチュナス、ゴール下からミドルエリアでのオフェンスが期待できるマイルズ・プラムリーと悪くない布陣を揃えている。ヴァランチュナスは2018-19シーズンに1試合平均19.9点、10.7リバウンドを記録しており、健康体であれば常にダブルダブルを見込める。PFのジャクソンJrとの相性も悪くなく、チームに残れば安定したフロントコートになるだろう。

PGには先述のモラントに加えて、ティンバーウルブズからタイアス・ジョーンズを獲得した。ジョーンズは学生時代は注目されていたが、NBA入り後は目立った活躍はできていない。ウルブズでは随所で才能の片鱗を見せるプレーも少なくなかったが、そのジョーンズに3年2,800万ドルというベンチメンバーにしては高額契約を与えるという球団の判断には疑問が残る。グリズリーズはデータ経営を得意としているフランチャイズだけにジョーンズがブレイクする可能性はあるが、ブレイクしなかった場合は引き取り先を探すのに苦労することになるだろう。
SGには、フェニックス・サンズから守備力に秀でたジョシュ・ジャクソンを獲得したが素行面に不安が持たれており、Gリーグのメンフィス・ハッスルでシーズンをスタートすると球団が発表した。他にはデイロン・ブルックス、グレイソン・アレンと在籍しているが、SGはチームでも最も層が薄いポジションと言える。
グリズリーズのバックコート陣の状況を見るに、モラントとジョーンズの2ガード体制が多用されるように思う。ジョーンズは昨年FG成功率41.9%、3P成功率33.3%と及第点の成績だが、より万能性が高いモラントをPGに据えるというビジョンを前提に考えれば、ジョーンズへの高額オファーも納得のいくものだ。
マルク・ガソル、マイク・コンリー、ジャスティン・ホリデー、ジョアキム・ノア、エイブリー・ブラッドリーとチームの核となっていた選手の多くを放出したグリズリーズは、2019-20シーズンから本格的な再建期に入る。
モラント、ジャクソンJr、クラーク、ジョーンズなど才能ある若手が揃っている。ジェンキンスHCは34歳と若く、30歳の法律家であるザック・クレイマンが人事権の全権を持つというのも未知数だ。ケミストリー次第では昨年のブルックリン・ネッツのようなアップセットを見せる可能性もゼロではない。