【コラム】ビクター・オラディポ、ペイサーズとの再契約はあるのか?

    インディアナ・ペイサーズは、1990年代からリーグの中堅の強豪として長年にプレーオフ争いを行っている。

    マイケル・ジョーダン率いるシカゴ・ブルズと数々の熱戦を繰り広げたレジー・ミラーの時代、レジー引退後のダニー・グレンジャーの時代、そしてポール・ジョージの時代とエースの世代交代がありながらも、大きな落ち込みはしていないNBAでも稀なチームだ。そんなペイサーズで現在エースを担っているのが、ビクター・オラディポだ。

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    揺れるオラディポの去就

    オラディポは2013年ドラフト2位でNBAでのキャリアがスタートした。大学時代からディフェンスの評価が高く、新人王候補にも挙げられた経歴を持つ。才能が本格的開花したのは2017-18シーズンにポール・ジョージとのトレードでペイサーズに加入して以降だだ。得意のディフェンスはもちろん、オフェンスでの突破力やクラッチタイムの強さを発揮し、名実ともにペイサーズのエースととなっていった。

    前任のポール・ジョージはリーグ有数のSFと評価されおり、オラディポとドマンタス・サボニスの2人とのトレードには疑問を持つファンも少なくなかった。しかし、オラディポもサボニスもオールスター選手に成長し、当時の球団の判断が評価され、現在では「良いトレードだった」といわれている。

    自他ともに認めるペイサーズのエースに成長したオラディポは2021年にFAとなる。2019年オフシーズンにペイサーズは4年8,000万ドルの契約提示をオラディポに行ったと「ESPN」が報じた。しかし、再契約交渉は進んでいないらしい。

    オラディポの現在のサラリーは4年8,400万ドルであり、ペイサーズから提示された条件は現在の契約よりも微減だ。オールスターに選出されているオラディポの能力からすると非常に低い評価である。この金額では流石にオラディポも呑むことはできないだろう。

    ペイサーズの事情

    球団側の事情も理解できる。オラディポは2019年1月に右足大腿四頭筋腱断裂という重傷を負い、万全の態勢で復帰できるか未知数な状況だった。スモールマーケットであるインディアナにとって、完全復活が確約されないエースに高額契約を与えることは、将来のチーム運営にまで大きな傷を残すことになる。

    ペイサーズは伝統的に強固なディフェンスで勝つというチームカラーがある。これはインディアナが「スモールマーケット」であることに起因している。潤沢なキャッシュもなければ、スター選手が所属したがる魅力的な都会でもない。良くも悪くも地味な地方都市なのだ。それが故にペイサーズはFA市場に弱く、ペイサーズで活躍した選手の大多数はドラフト指名かトレードで獲得した選手ばかりだ。

    スモールマーケット特有の事情もあり、ペイサーズはリスクのある契約を嫌う。FAで大物選手を獲得することが非常に困難(私が知っている限り、全盛期を過ぎたペジャ・スコヤコヴィッチぐらいか…)であることから、怪我しているスターに大金を積める余裕はないだろう。

    再契約の行方は?

    オラディポは2020年1月29日に復帰し、現在までに13試合に出場している。出場時間の兼ね合いもあるが、スタッツは物足りなく、新加入したマルコム・ブログドンやTJ・ウォーレンとの噛み合いも上手くいっているとはいえない状態だ。ペイサーズにとって彼がアンタッチャブルな選手かどうかを判断するには、あまりに査定期間が短すぎる。

    おそらく、オラディポも球団もできれば再契約したいと考えているだろう。

    オラディポはインディアナ大出身ということもあり、オラディポ自身のチームへの思い入れは深い。また、ペイサーズとしても地元に所縁があるスター選手であり、スモールマーケットであるペイサーズを引っ張っていけるエースを易々と手放したくはないはずだ。必要なのは双方の安心感だ。

    COVID-19(コロナウイルス)の影響でシーズンが中断している。今後のスケジュールが不透明な状況で、現在のパフォーマンスだけで契約延長のテーブルに着くのは、双方とも不本意だろう。おそらくオラディポは現時点での延長契約はせずに、2020-21シーズンオフまで再契約はしないのではないかと思う。

    シーズン前の再契約交渉のニュースが本当だとするとオラディポとペイサーズの関係は悪化していても不思議ではないが、復帰前のオラディポとチームとの関係は悪くないように見えた。ペイサーズの堅実なチーム運営の歴史を考えると、大怪我で欠場中の選手に4年の契約を提示すること自体が違和感がある。

    球団社長のケビン・プリチャードとチャド・ブキャナンGMは就任以来、「組織の透明性」に尽力してきた。オラディポに対しても腹を割った交渉をしているはずだ。再契約交渉をしていたのであれば、怪我の影響なく復帰することで契約条件の変更を打診していてもおかしくない。

    2019-20シーズンの継続については現時点では不透明だが、オラディポが高いパフォーマンスを発揮することが双方にとってもっとも良い決着になることは間違いない。

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