2023年ドラフトの注目株、ビクター・ウェンバンヤマとスクート・ヘンダーソン

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2022年10月19日(日本時間)に2022-23シーズンが開幕したが、一部のファンのあいだでは既に来年の2023年ドラフトの1位指名が話題となっている。その中心にいるのはフランス出身のビクター・ウェンバンヤマと、大学を経由せずにGリーグ・イグナイトに所属する2人の18歳だ。

目次

2023年ドラフト1位候補①:ビクター・ウェンバンヤマ

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フランスのイヴリーヌ県ル・シェネ出身の18歳で、現地チームである「LNB・メトロポリタンズ92」に在籍している。
224cmという長身でありながら機動力と柔軟性があり、ウィングスパン244cmという規格外の高打点から放たれるシュートはブロックするのは難しい。3Pシュートもスムーズに打てるだけでなく、俊敏さとボールハンドリングも兼ね備えているため往年のアキーム・オラジュワンのような巧みなインサイドステップもできる。
数年ごとに出現する「10年に1人逸材」ではあるが、ウェンバンヤマのスキルセットは唯一無二で、かつてのカリーム・アブドゥル・ジャバーやシャキール・オニールのように、NBAの試合戦術を変えてしまう可能性さえ感じさせる。

一方で長身のスキルフルなセンターの例の漏れず体重109kgというフィジカル面には不安が残る。クリスタプス・ポルジンギスやショーン・ブラッドリー、2022年ドラフト2位のチェット・ホルムグレンなど、ウェンバンヤマ同様に長身がながら多彩なスキルセットを持った選手は少なくなかったが、いずれもフィジカル面に課題を抱ている(※ ポルジンギスはその中でも完成度が高く、ホルムグレンはNBAで1試合もしていないが…)。
無理にフィジカルを強化するとウェンバンヤマの特異性である俊敏性や柔軟性が失われる可能性があるジレンマがあり、フィジカル面での育成がNBAでの活躍のポイントとなりそうだ。

身長的にはセンターだが、プレースタイルや怪我のリスクを考えるとPFでの運用が適していると考えている。特にゴール下で体を張れる選手がいればスペーシングの問題も解決し、相乗効果も期待できそうだ。

2023年ドラフト1位候補②:スクート・ヘンダーソン

ビクター・ウェンバンヤマと2023年ドラフトの1位指名を争うといわれているのが、同じく18歳のスクート・ヘンダーソン。

ヘンダーソンは188cm/88kg という標準的な体型のPG/SGで、フィジカル面ではNBAでプレーできるレベルとされている。彼のプレースタイルは3Pシュートも織り込みながら、ドライブでミスマッチを作って得点することが多い。そのプレースタイルはマーケット大学をNCAAファイナル4へ導き、NBA1年目にしてエースとしてチームをプレーオフに導いたドウェイン・ウェイドを彷彿とさせる。

高校生の時点でclass of 2022の7位にランキングされており、多くの有名校からオファーが届いたが、結果的には大学に進学せずに下部リーグであるGリーグ・イグナイトに所属している。イグナイトが複数年契約をしたのはヘンダーソンが史上初であり、リーグ関係者もその才能は認めているところだ。

近年ではジェイレン・グリーンを筆頭に、大学を経由せずにGリーグからNBA入りする選手が増えているが、ヘンダーソンもそのルートを辿ることになる。まだ、GリーグからNBA入りすることの是非はまだわからないが、これまでのところGリーグ経由でNBA入りした選手たちはNBAのフィジカルに適応するスピードは大学出身選手よりも早いように思う。ヘンダーソンのプレースタイル的にも、この事実は追い風になるかもしれない。
現時点ではシュート成功率や、好不調の波が激しいなどの課題もあるが、ポテンシャル的には間違いなくNBAでスター選手になれる素質は持っているといえる。

NBA選手も注目した2022年10月の親善試合

Gリーグのイグナイトと、欧州リーグに参加していないフランスのメトロポリタンズ92の親善試合がネバダ州ヘンダーソンで行われた。その試合には多くのバスケットボールファンが集まり、クリス・ポールやデビン・ブッカーなどのNBA選手も多数観戦するほど注目を集めた。

この試合でウェンバンヤマは37点/4リバウンド/5ブロックという数字を残し、ヘンダーソンも28点/4リバウンド/9アシストという成績を残し、前評判通りの活躍をみせた。試合後のインタビューも含めて2023年ドラフト1位を巡ってライバル心をむき出しにしており、試合でもお互いに一歩も引かないプレーをみせた。

スマホでの動画閲覧はコチラから ⇒
https://www.youtube.com/watch?v=mi8sPCqQXQA

1位指名権獲得が予想される8チームは、どちらを指名するか?

2022-23シーズンは始まったばかりだが、開幕時点で低迷が予想されている8チームが1位指名権を獲得した場合に、ウェンバンヤマとヘンダーソンのどちらを指名するかを予想してみる。
(※各チームとも現ロスターのまま&ウェンバンヤマとヘンダーソン以外の1位候補が出てこないという前提)

1. サンアントニオ・スパーズ

1位指名予想:ビクター・ウェンバンヤマ

オールスター選手に成長したデジャンテ・マレーを電撃放出したスパーズは、97年にティム・ダンカンを獲得したとき以来の本格的な再建に舵を切っている。スパーズはどちらのポジションも人員不足なため、ヘンダーソンとウェンバンヤマのどちらの指名もあり得るが、ガードポジションにはトレ・ジョーンズやデビン・ヴァッセルといった若手成長株がおり、若返りを図っていることを考えると、インサイドのウェンバンヤマを指名すると予想する。

2. ユタ・ジャズ

1位指名予想:ビクター・ウェンバンヤマ

2年前にはカンファレンス1位に輝いたチームを抜本的に解体したジャズは、2022-23シーズンは再建期に入っている。コリン・セクストンやラウリ・マルッカネンといった注目選手がおり、熟練のサポート要員も豊富だが、CEOのダニー・エインジはおそらくドラフト上位指名を狙ってくるだろう。エインジはオフにセクストンと4年契約を結んでおり、セクストンは現時点ではジャズの中期構想に入っている。そのため、ウェンバンヤマの指名が濃厚と思われる。

3. オクラホマシティ・サンダー

1位指名予想:スクート・ヘンダーソン

2022年ドラフト2位指名でウェンバンヤマと同タイプのチェット・ホルムグレンを指名していることから、現時点ではヘンダーソンを指名すると予想する。ウェンバンヤマを指名した場合、ホルムグレンとのスキルフルな長身デュオは面白いが、怪我のリスクが多きすぎる。それであればシェイ・ギルジャス・アレキサンダー、ホルムグレン、ヘンダーソンという”BIG3″の方がバランスは良さそうに思える。

4. ヒューストン・ロケッツ

1位指名予想:スクート・ヘンダーソン

ロケッツは既に各ポジションに有力な若手選手がいるが、2022年ドラフト3位のジャバリ・スミスJr.をケビン・デュラントのようにシュート寄りのSF/PFで起用することを想定すれば、現時点ではウェンバンヤマが一歩リードしていると感じる。コート内外で安定感が不安視されるケビン・ポーターJr.をヘンダーソンに代えることも考えられるが、ジェイレン・グリーンとの役割分担を考えてもウェンバンヤマを優先しそうだ。

5. シャーロット・ホーネッツ

1位指名予想:ビクター・ウェンバンヤマ or スクート・ヘンダーソン

マイルズ・ブリッジズやジェームズ・ブークナイトが逮捕されるというようなショッキングなニュースが立て続けに報じられているホーネッツだが、エースPGのラメロ・ボールが在籍しており、期待していたブリッジズが素行問題を抱えているとなるとウェンバンヤマを指名すると考えられる。ただし、オーナーのマイケル・ジョーダンの好みはヘンダーソンだと思われ、ラメロとヘンダーソンのコンビも強力なことは間違いないため現時点では5分5分だ。

6. インディアナ・ペイサーズ

1位指名予想:ビクター・ウェンバンヤマ

PGにはタイリース・ハリバートン、SGには2022年ドラフト6位指名のベネディクト・マスリンやクリス・ドゥアルテが在籍しているためバックコートは既に埋まっている。マイルズ・ターナーの契約問題もあり、ペイサーズは迷わずウェンバンヤマを指名しそうだ。

7. デトロイト・ピストンズ

1位指名予想:ビクター・ウェンバンヤマ

2021年1位指名のケイド・カニングハム、2022年5位指名のジェイデン・アイビーとバックコートは既に揃っている。また、アイビーとヘンダーソンは似たタイプであり、2人のスター候補を差し置いてヘンダーソンを指名するとは考えにくい。アイビーとウェンバンヤマであればお互いに邪魔することなくプレーできるように思われるため、カニングハム/アイビー/ウェンバンヤマの若手BIG3で勝負を賭けるだろう。

8. オーランド・マジック

1位指名予想:ビクター・ウェンバンヤマ

各ポジションにポテンシャルの高い若手が在籍しているマジックだが、マーケル・フルツ、コール・アンソニー、ジェイレン・サッグスらが揃うバックコートは層は厚いが怪我に苦しんでいる。一方で2022年ドラフト1位指名でパオロ・バンケロを獲得したフロントコートは、フランツ・ワグナーの活躍もあって揃いつつある。どちらを優先するかは難しいところだが、ワグナー/バンケロがすでに揃っているフロントコートを整えた方が再建は早いだろう。そのため、僅差でウェンバンヤマを指名すると予想する。

ここ数年間のドラフトではガードポジションが比較的豊作な年が多かったこともあり、現時点ではウェンバンヤマの1位指名が濃厚と予想する。
ドラフトまでに各チームの状況は変わり、NCAAトーナメントで例年のように評価を急上昇させるドラフト候補性も出てくるだろう。2023年6月のドラフト指名まで、この2人を中心とした話題は尽きなさそうだ。

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