2023-24シーズンも最終版になっており、プレーオフ進出チームもほとんどが確定した。一方で下位に低迷しているチームのフロント陣は再建に向けてドラフト順位を見据えた動きを取っていることだろう。
終了がアナウンスされたGリーグINGNITEだが、2024年ドラフトはIGNITE所属選手の最後のドラフト年となる。HOUのジェイレン・グリーン、PORのスクート・ヘンダーソンらが頭角を現しつつあることを考えると、IGNITE出身選手の評価は今ドラフトでも高いことが予想される。
一方で、NBA入りの主流であるNCAAでは「March Madness(マーチ・マッドネス)」と呼ばれるNCAAトーナメントが幕を閉じた。
今年のMarch Madnessで注目を浴びたのはケイトリン・クラークやペイジ・ベッカーズといった女子で、歴代最高視聴率を叩き出す快挙をみせた。一方、男子も強豪校が早々に敗退する中で、UCONN(コネチカット大学)が連覇を果たし、話題性の高いNCAAトーナメントになったのではないかと思う。
その中で毎年、NCAAトーナメントで評価を上げる選手 / 下げる選手がおり、March Madness終了後の各主要メディアのモックドラフト表をまとめてみた。
(March Madness後)主要メディアのモック・ドラフト
Mockドラフトの主要4サイトの2024年4月13日時点での予想順位は下記となっている。なお、前回同様に「NBA Draft.net」については予想が尖っているため、今回のリストからは除外した。
平均 | Draft Room | Tankathon | ESPN | The Ringer | SBnation .com | |
---|---|---|---|---|---|---|
Alex Sarr | 1.8 | 1 | 1 | 3 | 2 | 2 |
Zaccharie Risacher | 5.6 | 6 | 2 | 5 | 10 | 5 |
Nikola Topic | 4.0 | 2 | 4 | 9 | 4 | 1 |
Cody Williams | 13.6 | 10 | 9 | 27 | 9 | 13 |
Ja’Kobe Walter | 12.2 | 14 | 12 | 6 | 11 | 18 |
Ron Holland | 8.6 | 8 | 11 | 19 | 12 | 3 |
Matas Buzelis | 8.0 | 4 | 8 | 17 | 5 | 6 |
Kyle Filipowski | 17.6 | 24 | 14 | 14 | 24 | 12 |
Rob Dillingham | 7.6 | 9 | 5 | 7 | 8 | 9 |
Tidjane Salaun | 15.0 | 13 | 13 | 15 | 15 | 19 |
Reed Sheppard | 6.2 | 11 | 3 | 2 | 7 | 8 |
Stephon Castle | 3.2 | 5 | 6 | 10 | 1 | 4 |
Isaiah Collier | 14.4 | 20 | 15 | 11 | 16 | 10 |
Donovan Clingan | 4.2 | 3 | 7 | 1 | 3 | 7 |
Ryan Dunn | 29.6 | – | 31 | 21 | 37 | – |
Yves Missi | 20.2 | 18 | 16 | 29 | 21 | 17 |
Kevin McCullar | 23.5 | 26 | 22 | – | 20 | 26 |
Tyler Smith | 21.0 | 19 | 24 | 18 | 29 | 15 |
Dalton Knecht | 7.8 | 7 | 10 | – | 6 | 16 |
Bobi Klintman | 29.7 | 31 | 28 | – | 30 | – |
Kel’el Ware | 20.5 | 28 | 21 | – | 22 | 11 |
Zach Edey | 15.2 | 12 | 23 | 4 | 17 | 20 |
Izan Almansa | 43.3 | 60 | 36 | – | 47 | 30 |
Tristan da Silva | 21.0 | 23 | 20 | – | 18 | 23 |
DJ Wagner | 59.0 | 66 | 54 | – | 57 | – |
Oso Ighodaro | 43.0 | 57 | 40 | – | 33 | – |
Bronny James | – | – | – | – | – | – |
March Madness前のドラフト予想順位でランキングされていた中で大きく評価を上げたのはStephon Castle(ステフォン・キャッスル)、Donovan Clingan(ドノバン・クリンガン)、Reed Sheppard(リード・シェパード)といったNCAAトーナメントで活躍した選手たちだ。特にキャッスルについては19歳の大型ガードとして1年生ながらUCONNの連覇に大きく貢献。堅実なプレーメイクとオンボールDFを武器としており、シュート力の向上次第ではオールスター級も目指せるという評価を受けている。また、キャッスルと同じくUCONNの連覇に貢献したクリンガンもインサイドDFとして評価を急上昇させており、インサイドに弱みを持つチームにとって優先的な候補になりそうだ。 また、NBAレベルでの活躍には懐疑的な意見が多いZach Edey(ザック・イディ)も、NCAAトーナメントでの活躍で評価を上げる結果となっている。
一方でCody Williams(コディ・ウィリアムズ)、Ja’Kobe Walter(ジャコビ・ウォルター)、Kyle Filipowski(カイル・フィリポフスキー)らは相対的に評価を落とすこととなった。ただし、才能自体は既に評価されているためロッタリーピックでの指名が予想される。
また、前回よりもさらに評価を落としたのが元全米No.1高校生といわれたDJ Wagner(DJワグナー)だ。大学で満足にプレーできていないこともあり、2024年ドラフトへのエントリーを回避することも選択肢になりそうだ。
前回選出されていなかった選手たち
平均 | Draft Room | Tankathon | ESPN | Bleacher Report | SBnation .com | |
---|---|---|---|---|---|---|
Jared McCain | 16.0 | 16 | 18 | 12 | 13 | 21 |
Devin Carter | 17.8 | 22 | 19 | 20 | 14 | 14 |
Johnny Furphy | 21.2 | 15 | 25 | 8 | 34 | 24 |
Tyler Kolek | 37.3 | 25 | 26 | – | 31 | – |
DaRon Holmes II | 27.0 | 29 | 27 | – | 25 | 27 |
Kyshawn George | 22.4 | 17 | 29 | 13 | 28 | 25 |
Carlton Carrington | 26.3 | 30 | – | 22 | 27 | – |
March Madness前のMockドラフトで名前が上がっていなかった選手の中では、デューク大学のJared McCain(ジャレッド・マケイン)、プロビデンス大学のDevin Carter(デビン・カーター)、カンザス大学のJohnny Furphy(ジョニー・ファーフィー)らが大きく評価を上げ、1巡目中盤〜下位での指名が予想されている。
マケインは2023年クラスのトップ選手の1人であり、ACC週間新人賞を獲得するなど大学バスケ有数のスコアリングガードとしての評価を受けている。また、30点超えの試合を複数回記録しており、ザイオン・ウィリアムソンと並ぶ大学新入生記録を樹立している。
カーターはビッグ・イーストの新人王を獲得したことがあるシューティングガード。今シーズンは平均19.7点、8.7リバウンドという数字を記録しており、3P成功率も37%となっている。22歳という年齢が近年の上位指名ではネックとなりそうだが、即戦力化が著しい1巡目下位〜2巡目上位での指名が予想されそうだ。
フィーファーは206cmのウイングで、シュート力とディフェンス力を兼ね備えていると評価されている。1年生ながら名門カンザス大のローテーションに定着しており、粗はありながらもポテンシャル枠として貴重なロールプレーヤーになれる可能性を秘めている。
ブロニー・ジェームズはドラフトされるか?
NBAドラフトへのエントリーが話題となったレブロン・ジェームズの息子であるブロニー・ジェームズは現時点ではドラフト指名される可能性は低そうだ。ただし、今年40歳となるレブロンは全盛期には及ばないながらも依然としてリーグトップクラスのパフォーマンスを見せており、レブロン発言した「ブロニーとプレーしたい」という希望を叶えるためにブロニー指名に動く球団はありそうだ。
しかし、ブロニー単体へのスカウト陣の評価は決して高くないというのが実情だ。 名門である南カリフォルニア大学(USC)に所属しているが、中心選手というわけではなく、バスケIQやスキルセットの面でもNBAレベルで通用するかは疑問視されている。また、不整脈の問題もドラフトにおいてはマイナス評価になるだろう。マイケル・ジョーダンと並び称されるGOAT候補である40歳の父親の獲得のために、価値の上がっているドラフト指名権を使うのは躊躇われる。
現状ではブロニーが2024年ドラフトで指名される可能性は高くないが、すべてはこれから始まるワークアウト次第になりそうだ。