渡邊雄太との契約で日本でも注目を集めたトロント・ラプターズの2021-22シーズンの展望をご紹介します。
2020-21シーズン:振り返り
シーズン勝敗 | 27勝45敗(勝率.375) |
プレーオフ結果 | 未出場 |
OFF RATING | 112.0(16th/30) |
DEF RATING | 112.5(15th/30) |
NET RATING | -0.5(19th/30) |
ラプターズは優勝果たした2シーズン前から一転して8年ぶりにプレーオフを逃した。コロナウィルスの影響で本拠地がトロントではなくタンパになるイレギュラーなシーズンだったが、マルク・ガソルやサージ・イバカといった優勝時の主力メンバーの多くがチームを離れたことがラプターズが苦戦した直接的な要因だ。
エースのパスカル・シアカムは56試合に出場して平均21.4点、7.2リバウンド、4.5アシストという数字を残したが、3P成功率は29.7%と精彩を欠き、第4Qでの強引なプレーは非難の的となった。また、シーズン途中に長年の功労者であるノーマン・パウエルを放出し、次期エースとして期待されるゲイリー・トレントJr.を獲得した。
また、フレッド・ヴァンブリートは主力として確固たる地位を築き、クリス・ブーシェは3Pシュートも打てるビッグマンとしてMIP投票で6位に入る成長をみせたことは明るい話題だ。渡邊はディフェンダーとして大きなインパクトを残し、ドラフト外からチャンスを掴んだ選手が大きく躍進したシーズンだった。
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2021-22シーズン:プレビュー(2021年9月30日時点)
開幕ロスター
r:ルーキー tw:2way契約 ( ):怪我
PG | フレッド・ヴァンブリート | ゴラン・ドラギッチ マラカイ・フリン ダラーノ・バントン(r) |
SG | ゲイリー・トレントJr. | シヴィ・マカイルーク デイビッド・ジョンソン(r)(tw) |
SF | OG・アヌノビー | 渡邊雄太 サム・デッカー アイザック・ボンガ イシュメイル・ウェインライト(r) ジャスティン・シャンパニー(r)(tw) |
PF | パスカル・シアカム | スコッティ・バーンズ(r) プレシャス・アチウワ フレディ・ギレスピー |
C | クリス・ブーシェ | ケム・バーチ レジー・ペリー |
今オフシーズンには長年チームを支えた功労者であるカイル・ラウリーを放出した。これによって優勝メンバーのスタメンは全員チームを去ることとなった。明確な再建モードではないものの、2021-22シーズンは実質的には再建のシーズンになると考えられており、ラウリーの代わりに獲得したゴラン・ゴラギッチもラプターズでのプレーを望んでいないことから、近い将来に放出される可能性も低くない。
ラウリー放出以外に大きな話題がなかったオフシーズンだが、ドラフト4位でフロリダ州立大のスコッティ・バーンズを獲得したことは大きな収穫だ。バーンズは220cmのウイングスパンを持っており、ルーキー離れしたディフェンス力をサマーリーグでもみせている。大学時代には5ポジション全てを守っていたこともあり、OG・アヌノビーや渡邊雄太とともにラプターズのディフェンスをさらに向上させることができそうだ。また、フィジカルが強く、近い将来にはリーグ有数の2wayプレーヤーになれる可能性を秘めている。また、ゲイリー・トレントJr.とケム・バーチとも問題なく再契約した。
ラプターズの強みはニック・ナースHCのディフェンス・システムにある。
アヌノビーを中心とする複雑で手堅いチームディフェンスは独特で、この方針は今季も継続されるだろう。しかし、ディフェンスの要の1つであるシアカム放出の噂は絶えない。シアカムは攻守で計算できる選手であるため需要が高く、同ポジションのバーンズを指名したこともシアカム放出に現実感を与えている。
今季のラプターズは、今後のチームの方向性を見定めていく1年になりそうだ。
注目選手:ゲイリー・トレントJr.

ゲイリー・トレントJr.は、2019-20シーズン終盤のブレイザーズ躍進を支えた1人だった。
2020−21シーズンにノーマン・パウエルとの交換でラプターズへ加入し、平均31.1分の出場で15.3点、2.6リバウンド、1.4アシストを残している。3Pシュートも上手く、昨シーズンは38.5%を記録している。相手にプレッシャーをかけ続けるディフェンスは一定の評価されているが、昨シーズンは守備に精彩を欠いており、今季はニック・ナースHCのディフェンスシステムに馴染む必要がある。
現時点ではチームの2番手になることが有力だが、シアカムの去就次第では1stオプションになる可能性もある。その場合には攻守ともにもう一段上のプレーをみせる必要があるだろう。