2023-24シーズンも折り返しを過ぎ、各チームともに今年の成績が朧気ながら見えてきた時期となった。優勝やプレーオフ進出を見据えるチームもあれば、思ったように勝てずに再建に入るチームもある。そうした状況の中で、徐々に2024年ドラフトの話題も徐々に増えてきている。
近年はGリーグINGNITEやOTE(オーバータイムエリート)などを通ってNBAする選手も増えてきているが、やはり大学を経てNBA入りすることが大多数のドラフト候補性の主流派なのは変わりない。
アメリカの大学バスケであるNCAA(全米大学体育協会)は米国で絶大な人気を誇るコンテンツであり、特に「March Madness(マーチ・マッドネス)」と呼ばれる3月から4月にかけて行われるトーナメント戦の注目度は大きい。(日本の甲子園の規模を大きくしたイメージ)
バスケットボールにおいてもMarch Madnessは大人気コンテンツであり、ドラフト前のトーナメント戦として評価を上げる選手、評価を下げる選手が毎年生まれる。
そんなNBAファンも大注目のMarch Madnessだが、March Madness前の各主要メディアのモックドラフト表をまとめてみようと思う。
(March Madness前)主要メディアのモック・ドラフト
Mockドラフトの主要4サイトの2024年1月20日時点での予想順位は下記の通りだ。なお、「NBA Draft.net」については予想が尖りすぎているため今回は除外した。
平均 | Draft Room | Tankathon | ESPN | Bleacher Report | Yardbaeker | |
---|---|---|---|---|---|---|
Alex Sarr | 1.4 | 3 | 1 | 1 | 1 | 1 |
Zaccharie Risacher | 2.6 | 2 | 3 | 2 | 3 | 3 |
Nikola Topic | 3.4 | 6 | 2 | 5 | 2 | 2 |
Cody Williams | 4.8 | 1 | 8 | 3 | 7 | 5 |
Ja’Kobe Walter | 4.8 | 4 | 4 | 4 | 8 | 4 |
Ron Holland | 7.0 | 7 | 5 | 11 | 4 | 8 |
Matas Buzelis | 7.2 | 8 | 7 | 10 | 5 | 6 |
Kyle Filipowski | 9.0 | 11 | 10 | 8 | 9 | 7 |
Rob Dillingham | 9.2 | 9 | 11 | 7 | 6 | 13 |
Tidjane Salaun | 9.2 | 5 | 14 | 6 | 11 | 10 |
Reed Sheppard | 12.2 | 13 | 6 | 12 | 16 | 14 |
Stephon Castle | 13.0 | 14 | 9 | 15 | 18 | 9 |
Isaiah Collier | 13.2 | 18 | 13 | 9 | 15 | 11 |
Donovan Clingan | 15.0 | 17 | 12 | 13 | 21 | 12 |
Ryan Dunn | 17.0 | 15 | 15 | 14 | 25 | 16 |
Yves Missi | 17.0 | 16 | 17 | 20 | 10 | 22 |
Kevin McCullar | 17.6 | 20 | 16 | 17 | 17 | 18 |
Tyler Smith | 17.6 | 24 | 19 | 18 | 12 | 15 |
Dalton Knecht | 19.2 | 10 | 22 | 32 | 13 | 19 |
Bobi Klintman | 23.0 | 26 | 24 | 21 | 23 | 21 |
Kel’el Ware | 26.8 | 51 | 18 | 24 | 24 | 17 |
Zach Edey | 26.8 | 30 | 20 | 14 | 41 | 29 |
Izan Almansa | 26.8 | – | 21 | 23 | 39 | 24 |
Tristan da Silva | 27.5 | 34 | 29 | 28 | 19 | – |
DJ Wagner | 31.0 | 49 | 25 | 26 | 32 | 23 |
Oso Ighodaro | 31.0 | 43 | 23 | 27 | 31 | – |
Bronny James | 39.0 | 48 | – | – | – | 30 |
1巡目上位指名
現時点ではAlex Sarr(アレックス・サール)、Zaccharie Risacher(ザッカリー・リザッハー)、Nikola Topic(二コラ・トピッチ)が頭一つ抜け出しており、上位指名が有力視されている。
近年は海外リーグでの経験がある選手が多くドラフトされているが、2024年ドラフトもこの傾向は強く、サール / リザッハー / トピッチらは全員海外リーグでプレーしている。ドラフト時点で全員が20歳未満であり、ポテンシャルと実績を兼ね備えた存在として再建チームからの人気株となるのは間違いないだろう。
プロを目指す若手チームとして、Gリーグ IGNITEのRon Holland(ロン・ホランド)やMatas Buzelis(マタス・ブゼリス)も注目されているが、近年多く輩出されてたIGNITE出身者から、当初の期待を上回るスターが生まれていないことからIGNITE自体の相対的評価が下がる可能性も考えられる。
トップ3選手を追い掛ける第2群として、コロラド大学のCody Williams(コディ・ウィリアムズ)、ベイラー大学のJa’Kobe Walter(ジャコービー・ウォルター)、ケンタッキー大学のRob Dillingham(ロブ・ディリングハム)、デューク大学のKyle Filipowski(カイル・フィリパウスキー)といったNCAAの強豪チームの面々が予想されている。 この中でも、特に20歳未満のウィリアムズとウォルターの評価が抜け出ている印象だ。特にウィリアムズは、現在サンダーで活躍中のジェイレン・ウィリアムズ(JDub)の弟であり、兄以上の才能を持っているという評価を得ていることからNCAAでの結果次第ではトップ3指名に食い込む可能性は十分に考えられる。
1巡目中位指名
ロッタリー指名下位~1巡目中位で指名されると予想されている選手なかには、高校時代から潜在能力を高く評価されていた南カリフォルニア大学のIsaiah Collier(アイザイア・コリアー)や、ケンタッキー大学のReed Sheppard(リード・シェパード)、ヴァージニア大学のRyan Dunn(ライアン・ダン)といったNCAAで注目されているポテンシャル枠と即戦力選手が混在している。
この傾向自体は例年と変わりないが、例年に比べて圧倒的上位指名候補者が少なく、上位指名候補の多くが海外リーグ出身者であるということから、March Madnessの結果次第では大きく評価を上げる選手も出てくる可能性が高い。
特にアイザイア・コリアーはマクドナルド・オールアメリカンでMVPを獲得し、高校卒業時点ではNBAドラフトでトップ3評価をされていた逸材だ。南カリフォルニア大学では起用法や怪我で評価を大きく落としたが、トーナメントでの評価次第では1巡目上位指名にまで評価を上げる可能性もある。
1巡目下位指名
1巡目下位指名予想については指名権のトレードなどでも需要が変わるため例年通りかなり不安定であるが、パデュー大学のZach Edey(ザック・イディ)やケンタッキー大学のD.J. Wagner(DJワグナー)といったNCAAのスター選手が残っている。大学までの実績では文句なしの2人だが、イディはNBAでの適応が疑問視されており、ワグナーはシーズン当初に不調で評価を大きく落とした。
高学年であるイディは1巡目上位にまで評価を上げることは難しいかもしれないが、ワグナーについては1年生であり、NACCトーナメントの結果次第では評価を大きく上げて1巡目上位に食い込む可能性もある。また、2年生でオレゴン大学からインディアナ大学に転入したKel’el Ware(ケレル・ウェア)も評価を上げてきており、1巡目中位にまで評価を上げてくる可能性がある。
2023年ドラフトはヴィクター・ウェンバンヤマという絶対的1位候補がおり、それにスクート・ヘンダーソン(2位指名)やブランドン・ミラー(3位指名)といった有力候補が追う形だったが、2024年ドラフトは絶対的1位指名候補がいない。また、2024年ドラフトは上位指名候補に海外リーグ出身者が多いのも特徴的で、March Madnessやドラフト・コンバインを経てまだまだ評価は大きく変わるだろう。
特にNCAA勢にとっては、全米のバスケットボールファンが注目するMarch Madnessでの活躍はドラフト指名に直結するため、今年もNCAAから目が離せなくなりそうだ。