3on3のプロバスケットボールリーグの”BIG3″でプレーするジョー・ジョンソンが、フィラデルフィア・セブンティシクサーズのワークアウトに参加すると報じられた。他にも、ロサンゼルス・クリッパーズ、ミルウォーキー・バックス、デンバーナゲッツ、ニューオーリンズ・ペリカンズなどの球団が、ジョンソンに興味を示しているらしい。
NBA時代のジョー・ジョンソン
BIG3でシーズンMVPに輝き、チームを優勝に導いたジョンソンは今年38歳になる大ベテランで、7度のNBAオールスターゲームに出場した経歴を持つ。
特にフェニックス・サンズ在籍時には、殿堂入りしたPGスティーブ・ナッシュ、PFのアマレ・スタッダマイヤーらとともに62勝20敗の好成績を収めている。この年のジョンソンの3P成功率は47.8%とリーグ2位の確率で、ラン&ガンゲームのアウトサイドの要として活躍。エースの活躍を期待されて移籍したアトランタ・ホークスでは「平均25.0点、4.4アシスト、4.2リバウンド、1.05スティール」と、高いシュート力を活かしたプレーでオールスターにも選ばれた。2018年以降はNBAでのプレーは行っておらず、3on3プロバスケットボールリーグ”BIG3″のトリプレッツをチャンピオンシップ(優勝決定戦)に導いている。
“BIG3″とは
BIG3は、ヒップホップミュージシャンのアイス・キューブが立ち上げた3on3のプロバスケットボールリーグ。
2019年には創設3周年を迎え、現在12チームが所属している。BIG3には、マイク・ビビー、アマレ・スタッダマイヤー、ラシャード・ルイス、ネイト・ロビンソンら元NBAのスター選手が多数在籍しており、往年のNBAファンからも高い人気を集めている。
BIG3独自のルールとして「4Pシュート」が設けられており、音楽イベントなどのエンターテイメント性も高い。3on3がオリンピック競技にも指定され、草バスケでも人気の高い競技として人気上昇中だ。
求められる役割

ジョンソンはBIG3で平均21.9点、3.9アシストを記録している。50点先取ゲームのBIG3で、得点の約半分である平均21.9点を挙げているのは驚異的だ。もともと3Pシュートが得意ということもあり、BIG3独自ルールの4Pシュートも4本(リーグ1位)沈めている。BIG3のディフェンスはNBAよりもかなり緩く、NBAレベルのディフェンスに38歳のジョンソンがどこまで対応できるかは未知数であるが、純粋なシュート力はNBAでも通用するレベルを保っているといえるだろう。
現時点にジョンソンに興味を持っているとされるのはシクサーズ、クリッパーズ、バックス、ナゲッツ、ペリカンズの5チームといわれている。ペリカンズを除く4チームはプレーオフ進出が濃厚で、優勝候補の一角とみられているチームばかりだ。いずれのチームもチームの核は定まっているので、スポットで活躍できる控え選手を獲得したいという意図と思われる。プレーオフ、特にNBAファイナルでは優勝を手繰り寄せるベテランの力が必要となる場面も多く、優勝へのラストピースとしてジョンソンのシュート力が欲しいチームは現れるだろう。
フィットしそうなチームは?
個人的に、シクサーズのチーム事情はジョンソンにフィットするのではないかと考えている。シクサーズはスコアリング能力が高いジミー・バトラーが移籍し、今季はジョシュ・リチャードソンが先発を務めると考えられている。リチャードソンは攻守で堅実な働きをするが、純粋なシュート力には不安が残る。また、JJ・レディックも移籍したため、アウトサイドで長距離砲を打てる選手は昨年よりも少ない。特にエースの1人であるベン・シモンズのシュート力には不安があり、エリアを広げることができるシューターの存在は不可欠だ。
また、2大エースであるジョエル・エンビードとベン・シモンズの能力に疑いの余地はないが、プレーオフで勝ち上がることを考えると経験不足は否めない。プレーオフで勝ち上がるためには2ndユニットの得点力は大きな課題になる。ジョンソンのシュート力は、シクサーズが抱えている課題にフィットするのではないだろうか。
ルー・ウィリアムズが所属するクリッパーズ、ベテラン3Pシューターが所属するカイル・コーバーを擁するバックスも優勝へのラストピースを探している段階と思われるが、ジョンソンに求められるであろう役割は彼らが担うことができる。チームとしては38歳のベテランと契約し、プレータイムを確保する余裕はないだろう。
ペリカンズの場合は上記の3チームと状況が異なる。10年に1人の逸材であるザイオン・ウィリアムソンをドラフトで指名し、レイカーズで「ヤング・コア」と呼ばれたロンゾ・ボール、ブランドン・イングラム、ジョシュ・ハートら有望な若手選手が所属しており、将来性は高い。
しかし、今シーズンに優勝を目指せるチームではなく、プレーオフを勝ち抜くには経験が圧倒的に不足している。彼ら有望な若手の指南役としてジョンソンは適任だが、それ以上の役割jは期待できないだろう。ジョンソンもNBAに復帰するからには、38歳という年齢もあり「勝てる」チームを選ぶのではないだろうか。
現時点で優勝の最有力候補はクリッパーズかバックスであるが、各チームの状況やジョンソンに求められるプレーを考えると、シクサーズで控えに厚みを持たせる役割がもっともフィットするのではないかと思う。
ワークアウトの結果次第ではあるが、ジョー・ジョンソンが接戦でクラッチプレーを決める姿をもう一度見たいものだ。